二重ロック(ダブルロック)は意味がある?防犯特性と設置方法をプロが解説
住宅や事務所などの建物の防犯強化は、鍵の種類や設置方法の良し悪しがまず重要です。
特に、警察や国土交通省なども推奨している設置方法「二重ロック(ダブルロック)」は効果的で、心理面と物理面との両方の導入メリットがあります。
今回は二重ロックの基本情報と設置方法、メリットや注意点について詳しく解説していきます。
1. 二重ロックとは?
まずは予備知識として、「二重ロックがどのようなものなのか?」を知っておきましょう。
建物の防犯強化方法をネット検索したい方のために、他に使われている呼び方も紹介します。
二重ロックの意味
・一枚のドアや窓に2つ以上の鍵を付ける不正侵入対策
通常建物のドア鍵は、「ドア一枚につき最低一つの鍵」が付いていますよね。
同時に2つ以上の鍵を設置するようなケースは、最高ランクのセキュリティ性能を求められる場所に限られていました。
ですが平成後期から令和以降にかけて、一般家庭の防犯用としても二重ロックが推奨されるようになっています。
鍵メーカーの企業努力のおかげで、価格が安く取り付けも簡単な「補助錠」が普及し始めたこと。
警察が侵入犯を対象に行った調査結果で、約7割が「鍵開けに5分以上かかると諦める」、約9割が「10分以上かかると諦める」と回答していること。
こうした背景もあり、「鍵を増やして開錠の手間をかけさせる二重ロックは有効」、であることが認知されているわけです。
参考:警察庁「住まいる防犯110番」
侵入者プロファイリング~心理と行動③
・「ダブルロック」「ワンドア・ツーロック」とも呼ばれる
二重ロックの別の呼び方として、「ダブルロック」「ワンドア・ツーロック」もよく使われています。
特にワンドア・ツーロックは、直訳すると「ドア1つに鍵2つ」。
二重ロックよりもイメージを掴みやすいためか、鍵屋のサイトのコラムなどで比較的多く見かける呼称です。
ネット検索時は「ワンドア・ツーロック」を検索ワードにすることで、一般の方向けの防犯アドバイス記事がヒットしやすくなるでしょう。
警察庁の「住まいる防犯110番」のアドバイスコラムでも、ワンドア・ツーロックの呼称が使われています。
2. 二重ロックのメリットは?本当に防犯効果が期待できる?
二重ロックのように設備を増やすタイプの防犯策は、かかる費用や、見栄えがゴチャゴチャするのを敬遠されることが多いです。
ですが費用に見合ったリターンは計り知れないほどありますので、どんなメリットがあるかを知っておき、防犯強化の選択肢を増やしましょう。
二重ロックは物理・心理の両面で防犯効果絶大!
・メリット①:鍵開けに時間をかけさせる物理効果
鍵を増設する一番の利点は、「単純に不正解錠の手間を増やす」といった物理的な効果です。
「1. 二重ロックとは?」でも説明しましたが、鍵開けに5分以上で約7割、10分以上で約9割の泥棒が侵入を諦めるというデータがあるので、鍵を増やして手間をかけさせることは非常に効果的なのです。
玄関の鍵開けや窓からの侵入に時間がかかると、建物の住人や周辺住人に発見されるリスクが高くなります。
また、侵入時の作業の物音を聞かれるリスクも増大します。
一枚のドアに複数の鍵を設置している建物は、侵入にかかる時間を遠目から察知しやすくなるので、不審者が近付きにくくなるのです。
・メリット②:防犯意識の高さを見せる心理効果
空き巣などの侵入窃盗だけでなく、押し売りやリフォーム詐欺などの悪質業者に「住人の防犯意識の高さ」をアピールする効果も忘れてはいけません。
騙したり脅したりと悪質な手口を使ってくるような業者は、警戒心が薄そうなターゲットを最優先で狙ってきます。
これは建物や敷地内の状態についても同様で、監視カメラや防犯センサーが付いているなど「警戒心が強そうだ」と判断した家は、ターゲットにされにくい傾向があります。
「猛犬注意」のステッカーがある家をよく見ますが、これは犬そのものが番犬の役割を果たすだけでなく、「犬を防犯に活用している飼い主の警戒心」もアピールしているのです。
一枚のドアに複数の鍵が付いている二重ロックは、住人の防犯意識の高さをアピールして、悪意ある第三者を心理的に寄せ付けない威嚇効果が絶大なのです。
・メリット③:古い集合住宅で旧式鍵の脆弱性をカバーできる
2000年代に入ったあたりで、それまで一般的に使われていた旧式鍵の生産終了が相次ぎ、防犯性能を強化した改良鍵が普及し始めています。
しかし、築年数が30年近い建物では、未だに防犯性能が低い旧式鍵を使い続けているところも少なくありません。
持ち家であれば玄関鍵の交換を居住者の自己判断でできますが、賃貸住宅の鍵交換は管理会社の許可が必要なので、古くなった鍵を交換せずに放置してしまうわけです。
取り付けが簡単な後付け式の補助錠は、ドアや建具に傷を付けない両面テープ接着式のものも多く販売されています。
価格面もお手頃で、メイン鍵を丸ごと交換するよりも安く済むのがメリットです。
「旧式とは言え玄関鍵の一式交換は費用が気になる…」
こんな方には、テープ接着式の補助錠を使った二重ロックをお勧めします。
3. 二重ロックに使える補助錠とお勧めの補助錠
二重ロックの防犯効果と使いやすさを両立させるコツは、「ドアの種類や用途に合わせた鍵選び」です。
メイン鍵として使われるような高性能鍵を増設するのもいいのですが、「補助錠」と呼ばれる後付けの簡易鍵を使うほうが、穴開けなどの工事の手間や費用を少なくできます。
補助錠の種類と特徴、用途別のお勧め補助錠を紹介します。
補助錠の種類と特徴
・設置方式~室内側設置タイプと室外側設置タイプ
一般の玄関ドアの鍵は、室内側からも室外側からも施解錠が可能ですよね。
ですが補助錠は簡易タイプの鍵なので、室外側または室外側のどちらか一方に設置して、設置した側からでないと操作できないものが多いです。
室内側に設置するタイプはドアの外から見えにくく、在室時に中から鍵をかけていると外側からは開けられません。
そのため一人暮らしで夜間の就寝時などに、玄関からの侵入を防ぐのが主な用途になります。
入浴時などのちょっとした隙を狙って侵入する「居空き」という手口もあり、室内側から補助錠をかけておけば、在宅時に玄関から侵入される不安をなくすことができます。
室外側に設置するタイプは、ドアの外に補助錠が露出することで心理的な威圧感が強く、一目見ただけで不審者を近寄りにくくさせる効果が期待できます。
ただし室内側から解錠できないタイプでは、外から鍵をかけた時に室内にいる人が閉じ込められてしまうデメリットがあります。
・設置方式~ビス留めタイプと接着タイプ
後付け用の補助錠は、メイン鍵よりも取り付けが簡単なのが特長です。
ビス止めタイプは「面付錠」とも呼ばれ、ビス止め用の穴を開ける必要があるので、賃貸物件では使用できません。
接着タイプはドアや壁などを傷付ける心配はなく、賃貸物件では有力候補に挙げられます。
ですが弱点として、ビス止めタイプと比べると固定強度で劣ります。
・操作方式~シリンダー式
鍵穴にキーを刺して操作するタイプの補助錠で、令和以降普及が進んでいる電子錠が苦手な方でも、操作方法に迷ったりせずに使えます。
ですが補助錠の解錠用キーも管理・携帯する必要があり、キーの紛失や盗難のトラブルが発生しやすいのはデメリットです。
シリンダー式の中でもディンプルキータイプの鍵は、ピッキングという不正開錠手口に強く、防犯効果が抜群です。
・操作方式~数字ダイヤル式
南京錠や郵便ポストの鍵のように、数字ダイヤルを回して開けるタイプの補助錠です。
ダイヤル式の補助錠には、鍵穴や室内ツマミにカップ型のカバーを被せて覆い隠すタイプもあります。
・操作方式~テンキー式
数字が書かれたボタンを押して暗証番号を入力し、鍵を開けるタイプです。
ダイヤル式・リモコン式・スマートキー式とも共通しますが、「解錠用キーを別に管理しなくて済む」メリットは見逃せません。
物理キーを使うタイプのシリンダー鍵は、キーを失くして玄関が開けられないトラブルが多発していますが、物理キーを使わない電子錠ならその心配はいりません。
・操作方式~リモコン式、スマートキー式
ドアに直接手を触れなくても操作できるタイプの鍵で、車のドアでよく使われています。
令和以降は建物の玄関ドアでも使われるようになっているので、どこかで見たことがあるという方も多いでしょう。
リモコン式はテレビやエアコンなどと同じく、手元の専用リモコンで施錠・解錠を操作できます。
スマートキー式は、専用アプリがインストールされたスマホをドアに近づけるだけで、勝手に鍵が開きます。
ドアに触れずに操作できる清潔感やオシャレ感で人気ですが、鍵の操作に通信機能を使いますので、外部からの電波干渉に弱いという弱点があります。
近くに通信設備がある場所では要注意です。
用途別・お勧めの補助錠は?
・防犯性能重視 ⇒ 室外側ビス止めタイプ、テンキー式またはディンプルキー式
とにかく防犯性能を強化したい方には、室外側にビス止めするタイプがお勧めです。
テンキー式は正しい暗証番号を知らないと開けるのが難しく、壊さずに開けるためには特殊な機材や知識が必要になります。
鍵穴を使うタイプよりも壊さず開けるのが難しいので、メイン鍵がシリンダー錠の場合には特に勧めです。
ディンプルキーは鍵穴タイプのシリンダー錠ですが、ピッキングに強いのが何よりの利点です。
専用キーの保管や携帯が苦にならない方、またはメイン鍵に電子錠を使っている方は、ディンプルキー式の補助錠がお勧めです。
・落し物や失くし物が多い ⇒ リモコン式、スマートキー式、テンキー式
鍵穴で操作するタイプの鍵は、「キーの保管や持ち歩きが面倒」なのが悩みのタネです。
メイン鍵がシリンダー錠の場合、メインとサブ合わせて2本のキーを携帯しないといけませんよね。
その点、リモコン式やスマートキー式、テンキー式などの電子錠は、物理キーがいらないところが便利です。
普段持ち物をよく失くすという方には、物理キーを使わない電子錠タイプをお勧めします。
・ なるべく安く済ませたい ⇒ ダイヤル式、ディンプルキー式
「補助錠で防犯を強化したいが、あまり費用をかけられない…」
そんな方には、比較的安価で購入可能なダイヤル式や、ディンプルキー式がお勧めです。
テンキー式などの電子錠は、文字通り電子部品が使われている関係で、比較的高価なものが多いです。
それに比べて物理的な仕組みで動くダイヤル式やディンプルキー式は、価格の手頃さと使い勝手のバランスが良好です。
電池代や電池切れの心配も不要ですので、コストが気になるという方にはダイヤル式、またはディンプルキー式をお勧めします。
・在宅中の不正侵入を防ぎたい ⇒ 室内側設置タイプ
家の中に住人がいるタイミングで、食事中や入浴中を狙って侵入する居空き。
あるいは、ストーカーや性犯罪など在宅中の住人を狙う侵入者。
在宅時の安全を確保したい方には、外から見えない室内側設置タイプの補助錠がお勧めです。
室外側設置タイプは見た目で威圧感を与えられますが、弱点として「外から取り外されたり壊されたりする」のがデメリットです。
室内側の補助錠は家の中からしか操作や脱着ができないので、家にがっちり閉じ籠りたい時に向いています。
在宅中を狙って侵入されるのが不安な方や、居空きの被害を防ぎたいという方は、室内側設置タイプの補助錠がお勧めです。
・賃貸物件 ⇒ 室内側、両面テープ接着式
賃貸物件の設備交換や増設は、居住者の自己判断で勝手に行うことはできません。
壁や床、ドアや窓など、建物を構成する全ての部材がレンタル品だからです。
そしてさらに、ドア板や壁などに傷を付けたり壊したりした場合も、原状回復のための修繕費用を請求されてしまいます。
このような事情から、賃貸物件の二重ロックではビス止め式は使えません。
両面テープで接着するタイプの補助錠は、建物に一切傷を残さないので賃貸物件にお勧めです。
ビス止め式と比べると若干強度で劣りますが、そう簡単に外れるような弱いテープはまず使われていませんので、防犯用としては必要充分な性能と言えるでしょう。
さらに、室外側設置タイプではなく室内側設置タイプがお勧めなのは、「余計な誤解を防ぐ」のが大きな理由です。
室外側設置タイプの補助錠は、見た目だけではビス止めタイプなのか接着タイプなのかが分かりません。
そのため部屋の前を通りがかった人に、「ここの住人は勝手にドア鍵を増設している」と疑われたり、管理者に苦情を入れられたりするのが不安材料です。
賃貸物件で玄関の防犯強化をお考えの方は、室内側設置タイプで両面テープ接着式のものを選びましょう。
4. 二重ロックを設置する方法
二重ロックの導入にあたっては、「自力で設置する」やり方と「業者に依頼する」やり方の2通りの方法があります。
それぞれ詳しく解説しますので、二重ロックを検討する際の参考にして下さい。
自力作業~ドア板加工が不要で取り付け簡単な補助錠を使う
・ビス止め式や両面テープ接着式の補助錠を付ける
鍵の設置作業は、小さなミスが防犯性能の弱体化を招きます。
そのため一般の方が二重ロックにしたい場合は、取り付け作業で失敗しにくいビス止め式、または両面テープ接着式を使うのがお勧めです。
ドア板の穴あけ加工が必要なタイプは、穴の位置や大きさがわずかに狂っているだけでも不正侵入の隙を作ることになるので、DIY作業に慣れている方以外は避けておくのが無難です。
・鍵穴やサムターンに防犯カバーを付ける
補助錠とは少し趣が異なりますが、今付いているメイン鍵の鍵穴やサムターン(室内ツマミ)に防犯用カバーを被せて隠す方法もお勧めです。
鍵穴用・サムターン用の防犯カバーは、ボタン操作や数字ダイヤルの操作、または鍵穴に専用キーを刺して取り外さなければ、内部のメイン鍵をいじることができません。
1つの鍵に直接鍵を追加するような方法なので、「ワンキー・ツーロック方式」と言い換えても良いでしょう。
鍵穴用とサムターン用の防犯カバーは、取り付け作業が簡単で部品価格も安いのがメリットです。
・ドアノブ一体型の二重ロック錠に交換する
近年ではワンドア・ツーロック方式が強くお勧めされている事情もあり、「1つのドアノブに2つの鍵が付いたドア錠」も販売されています。
今付いているドアノブのメーカーと品番に対応可能な製品を探して、一式丸ごと二重ロックタイプに交換するのも効果的です。
対応可能な製品が分からない場合は、メーカーのサポート窓口に問い合わせましょう。
「ドアノブ1つに鍵1つ」という不審者の先入観を打ち壊し、見た目の威圧感で撃退する防犯効果が期待できます。
業者に依頼~ドア板などを加工してシリンダーを増設する
・シリンダーを増やす
室外側の鍵穴部品と室内側の回転ツマミは、「シリンダー」と呼ばれる円筒部品で繋がっています。
鍵の防犯機能の主力となるシリンダーを増やすことで、単純に鍵を増やして防犯性能を強化する方法です。
通常二重ロックの設置には、後付けタイプの簡易鍵である補助錠を付けるのが一般的です。
ですがやはり後付け部品の補助錠では、初めからドア板にがっちり固定されているメイン鍵の頑強さには及びません。
そのためメイン鍵をもう一つ追加して、防犯性能を2倍にするのがこの方法になります。
DIY作業に慣れた方なら自力作業でもシリンダー増設は可能ですが、穴の位置やサイズがほんの少しずれただけでも、動作上の不具合や防犯上の隙が生まれてしまいます。
ドア板やドア枠の加工が必要な二重ロックは、プロの業者に任せておくと安心です。
・メイン鍵の 電子錠を追加する
カードキーやテンキーなどの電子錠は、その名の通り電子機器で制御する特殊鍵です。
後付け式の補助錠にも電子錠タイプはありますが、
そして電子錠と呼ばれている鍵の中には、電源から配線を引いて動かすタイプの「電気錠」もあります。
取り付けが簡単な補助錠は、ドアにがっちり固定するメイン鍵と比べて取り付け強度が落ちるので、侵入者に壊されたり外されたりする不安感が拭えません。
設置費用にある程度余裕がある方は、業者に依頼してメイン鍵の電子錠を増設するのもお勧めです。
「鍵のかけつけ本舗」では、鍵のトラブルについて24時間365日受付対応しています。お見積り・出張費は無料、追加費用0円、即日の対応も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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5. 二重ロックの注意点・覚えておきたい重要なポイント
建物の防犯をがっちり固める二重ロックにも、導入前・導入後の注意点があります。
せっかくの費用投資が無駄にならないように、重要なポイントをしっかり覚えておきましょう。
シーン別・二重ロックはここに注意!
・検討時~補助錠のタイプや種類は慎重に選ぼう
二重ロック導入時にまず注意したいのは、「新しく付ける鍵の種類を慎重に選ぶ」ことです。
見た目のオシャレ感や周囲の流行を気にして、スマートロックやカードキーなどの電子錠を選ぶ方がいます。
ですが鍵はデザイン部品ではなく安全設備であり、毎日のように繰り返し使うものであることを忘れてはいけません。
「せっかく高額な費用をかけて電子錠を付けたのに、操作方法やエラー解除のやり方が分かりにくい…」
「予備の電池の買い置きや、電池消耗度合いの確認が面倒…」
このようなことにならないよう、IT機器に詳しい方がいる場合以外は電子錠を避けておくのが無難です。
鍵穴にキーを刺す従来型の鍵は、見た目や操作感のスマート感こそありませんが、電子部品を使わない単純さが強みです。
電子部品特有のトラブルとも無縁ですし、電子機器が苦手な方でも扱いやすいメリットがあります。
・設置前・補助錠の取り付け位置は家族構成に配慮して決める
補助錠の取り付け位置で、防犯面を考慮してよくお勧めされるのは「高い位置」です。
これはなぜかというと、「侵入者は自分の姿を見られることを嫌う」ためです。
しゃがんだ姿勢で操作できるような低い位置だと、周囲から身を隠しながら開錠作業に集中できてしまいますよね。
立ったままでないと届かない場所に2つ目の鍵が付いていれば、一目見て「周辺住人や通行人に発見されるリスクが高い」と思わせることができます。
しかし一方で、小さい子供や体の不自由な方がいる家庭では、「高い位置の補助錠に手が届きにくい」というリスクもあります。
補助錠の取り付け位置を決める際は、家族全員がスムーズに操作できる位置を確認しておきましょう。
また、玄関先で転倒する恐れがある高齢者や障がい者がいるご家庭では、倒れたままでも手が届きやすいよう、膝くらいの低い位置に補助錠を設置すると安心です。
火災や地震などの緊急災害時でも、家族全員がスムーズに脱出できる取り付け位置を考慮しましょう。
・設置時・補助錠の取り付け位置や固定状態をしっかり確認する
どれほど頑丈で高性能な鍵であっても、取り付け作業にミスがあると充分な防犯性能を発揮できません。
空き巣などの不正侵入手口には、鍵穴の台座の隙間を利用した「カム送り」という方法や、ドア板などのわずかな隙間を利用した「サムターン回し」という方法もあるからです。
取り付け位置に正しく設置できているか?
ドア枠の受け穴(ストライク)と鍵本体のかんぬき(デッドボルト)がズレていないか?
各部品は隙間なくがっちり固定されているか?
二重ロックの防犯効果を最大限発揮させるためにも、補助錠の取り付け作業は慎重に行い、設置状態の確認も必ずしておきましょう。
・設置後・短時間の外出で片方のみの施錠は不用心!
近くのコンビニやゴミ置き場などに短時間外出する時、「2つとも鍵をかけるのは面倒だから」と、片方だけ施錠して出かける人がいます。
煩雑な点については理解できるのですが、「プロの空き巣は狙った家を下見する」ことを忘れてはいけません。
短時間の外出なので片方の鍵だけ施錠し、家から離れた。
その一部始終を不審者に見られていたら、「あの家の二重ロックは見せかけだ」、と見抜かれてしまうのです。
ゴミ出しなどほんの数十秒~数分程度の隙を狙って侵入する空き巣もいます。
せっかく安全のために二重ロックを導入したのですから、短時間家を空ける時も2つとも鍵をかけて、隙を作らないように心がけておきましょう。
6. 窓からの侵入防止にも効果的!玄関以外の二重ロック
二重ロックやダブルロック、ワンドア・ツーロックなどの呼び方は、どれも「玄関ドア周りの防犯」を連想させる言葉ですよね。
ですが玄関以外にも、窓やベランダなどからの侵入防止に二重ロックが使えます。
玄関以外もしっかり防犯!お勧めの二重ロック方法
・窓用クレセントカバー
警察庁の統計によると、侵入窃盗で特に多く使われる経路は「開きっぱなしのドアや窓」です。
換気などで窓を開けっぱなしにしている建物は珍しくありません、全ての窓がきちんと施錠されているケースも少ないからです。
他にも、施錠された窓のガラスを割って侵入する手口も多く使われ、鍵開けに時間がかかる玄関ドアからの侵入は、窓からの侵入に次ぐ第3位となっています。
窓の防犯を強化する二重ロックは、窓用のクレセントカバーを設置することで簡単にできます。
「クレセント」とは、外窓と内窓の重なり部分に付いている半円形の固定金具です。
これは本来「窓の気密性や遮音性を高めるための金具」扱いなので、防犯面についてはほとんど考慮されていません。
クレセントカバーは、鍵穴カバーと同じようにクレセントをすっぽり覆ってしまうタイプの防犯器具で、数字ダイヤルを正しい暗証番号に合わせなければ取り外すことができません。
クレセント近くの窓ガラスを割って手を突っ込んでも、クレセントカバーがあることでクレセントを直接操作することができなくなります。
参考:警察庁「住まいる防犯110番」
手口で見る侵入犯罪の脅威
・窓用開閉ストッパー
開閉ストッパーは、その名の通り窓の開き幅を固定するための器具です。
補助錠の名称で売られていることもありますが、錠前としての仕組みを持たないので、ストッパーと呼ぶ方が正しいでしょう。
侵入犯が窓から忍び込む時、身体がすっぽり抜けるほどガラスを割ることはほとんどありません。
なぜなら窓を大きく割ろうとすると、大きな音を立てやすいので気付かれるリスクが高いからです。
そのため窓からの侵入では、クレセント近くのガラスを小さく割ってそこから手を入れ、クレセントを外して窓を開ける手口が主流になっているのです。
窓用開閉ストッパーは、上または下のサッシのレール部分に取り付けるタイプの他、クレセント付近のガラス部分に両面テープで固定するタイプもあります。
警備会社のALSOKが販売している「ALSOKロック」は、ガラス固定タイプのストッパーの中では特にお勧めです。
これは機能面ではなくデザイン面の工夫によるもので、外から見える接着面にALSOKのロゴが印刷されており、同社と警備契約しているかのように思わせる威嚇効果があります。
・勝手口や通用口の補助錠
玄関と窓の防犯だけでなく、勝手口や通用口の侵入対策にも気を配っておきたいところです。
一般住宅の勝手口は、玄関よりも簡素なドア・鍵が使われています。
勝手口用の鍵は玄関ドア用の鍵よりも防犯性が低く、構造面でも若干強度で劣るものが多いです。
そのためメイン鍵だけでは不安が残ってしまいますので、勝手口にも補助錠を付けておきましょう。
・玄関以外の防犯の注意点・2階以上への侵入も想定しよう!
建物の侵入対策でよくある誤解は、「1階部分の戸締りや防犯機器の設置だけを考えてしまう」ことです。
実は建物の侵入犯罪は、2階部分への侵入も当たり前のように行われており、時にはマンションの10階以上のベランダに侵入されるケースもあります。
ドアや窓の二重ロックは、1階だけでなく2階以上の窓にも導入を検討しましょう。
高層マンションの最上階付近の部屋であっても、「屋上からロープを伝ってぶら下がる侵入手口」があることを忘れてはいけません。
二重ロックの防犯特性と設置方法・まとめ
1枚のドアの鍵を増やして、見た目でも開錠難易度でも防犯性を飛躍的に向上させる二重ロック。
メリットや注意点を正しく知っておき、せっかくの費用と手間を無駄にしないようしっかり予習しておきましょう。
二重ロック導入後は普段使いの手間も増えますので、一緒に住んでいる家族や建物を使う社員の意見もよく聞いて、安全で最適な設置方法を判断しましょう。
外壁に足場になるような構造物がある建物では、2階以上の窓からの侵入事例が多いことも覚えておきましょう。
取り付け作業には細心の注意を払い、設置後に不具合が発生しないよう正しい手順で取り付けましょう。
最適な鍵の種類や設置方法が分からない、取り付け作業に不安があるといった方は、プロの業者に相談することをお勧めします。
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当社サイトのコンセプト
創業以来の鍵トラブル解決実績・累計12万件以上。
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記事監修者
島田 宏幸(しまだ ひろゆき)
記事監修者
島田 宏幸(しまだ ひろゆき)
1964年生まれ。富山県出身。主任錠前技術者。
「鍵のかけつけ本舗」の創業時より当社に在籍。
これまで警察の捜査に伴う開錠や、金融機関における業務用金庫の開錠など、数多くの鍵トラブルを解決してきた。
今も現役として現場作業に携わるほか、教育担当として後輩社員の技術指導や育成も担う。 趣味は釣り、料理。
運営会社情報
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