玄関の鍵をカードキー錠にしたい！長所や弱点、業者への依頼方法をプロが解説

外出時に玄関ドアの鍵穴で、金属キーをガチャガチャ回しながら施錠。
帰宅時にも、やはり金属キーをガチャガチャ回しながら解錠……
従来型の物理鍵の操作に手間を感じて、「カードキー錠を玄関ドアに設置したい」という方が増えています。
操作感がスマートで防犯性も高いところがカードキー錠の利点ですが、精密機器特有の弱点もあり、正しい知識がなければ上手に使いこなすのは難しいかも知れません。
今回のコラムは、カードキー錠のメリットとデメリット、新規設置や交換を業者に依頼する際の方法について解説します。

1. カードキー錠とは？他にもあるキーレス錠の種類も紹介

駅の改札や高速道路のETC通過時など、小銭を数えて取り出すことなくスムーズに通過できるのは便利ですよね。
カードキー錠もこれと同じような仕組みで、スマートな操作感から多くの場所で導入されているIT式の高性能鍵です。

カードキー錠の概要とその他のキーレス錠の種類

・カードキー錠＝現代人の必須アイテム・ICカードで操作するタイプの鍵

レジの会計や交通機関の料金支払い、あるいは銀行のATMなど、さまざまな場所で使われる薄型のICカードが現代人のライフスタイルの象徴になっています。
この仕組みを玄関錠に取り入れたのがカードキー錠で、本体の読み取り部に専用カードを近づける、またはタッチすることで施錠・解錠を操作する仕組みです。

電子部品と通信機能が組み込まれたIT機器のカードキー錠に、どこか新しく近未来的な印象を受ける方も多いのではないでしょうか？
ですがカードキーの歴史は意外と古く、世界初の特許取得は1975年と言われています。
その後はスマートな操作感やセキュリティ性の高さが受けて、会社やホテルなどの大型施設のドア錠として急速に普及していきました。
今では家庭用の玄関ドア錠としても一般的になってきており、ICカードを使うのが当たり前の令和のライフスタイルに違和感なく溶け込んでいます。

・カードキー以外のキーレス錠

金属キーを使わないキーレス錠は、カードキー以外にもいくつかの種類があります。

マンションの共用玄関でよく使われている「テンキー錠」は、電卓のような数字ボタンで暗証番号を打ち込むタイプの鍵です。
車のドアでよく見かける「リモコンキー錠」は、テレビやエアコンなどと同じようにリモコン機能付きのキーで遠隔操作するタイプの鍵です。
こちらも車の鍵でお馴染みの「スマートキー錠」は、錠前本体と通信機能付きのキーが遠隔通信を行う仕組みで、手で操作しなくても近付くだけで施錠・解錠操作ができます。

さらに特殊な機能を搭載した最高クラスのキーレス錠として、「生体認証錠」と呼ばれるタイプの鍵もあります。
生体認証とは、指紋や声など一人ひとりで固有のパターンを、登録者認証と解錠操作に用いるハイテク錠です。
指紋のパターンを読み取る「指紋認証」や、眼球の網膜のパターンを読み取る「網膜認証」。
声の特徴を読み取る「音声認証」や、指の静脈のパターンを読み取る「静脈認証」があり、玄関錠の生体認証システムに採用されています。

2. 玄関錠をカードキー式にするメリット

玄関ドアの鍵をカードキー錠にしたい場合、他の種類の鍵と比べてどんなメリットがあるのか気になりますよね。
本項では、カードキー錠を後付けする、または現在の鍵をカードキー錠に交換するメリットを詳しく解説していきます。

カードキーのメリット

・金属キーを持ち歩く必要がない

金属製のキーを使って開ける従来型の鍵は、外出する際に玄関ドア用の金属キーを携帯しなければいけません。
それに引き換えカードキーは、交通系ICカードやキャッシュカードなどと同じように財布に入れて持ち運べます。
そのため収納も持ち運びもスマートで、使用時にガチャガチャ金属音が鳴ることもありません。

・収納場所を傷付けにくい

細長い形をした金属キーは、携帯時に着衣のポケットやカバンの収納スペースを傷付けてしまうことがあります。
角を丸めて鋭利にならないように配慮されてはいますが、長く使い続けていると、どうしても収納場所の布地や縫い目を痛めてしまうのが泣き所です。

いっぽうで財布のカード収納部やカード入れは、初めから「薄型のプラスチック製カードを入れて持ち運ぶ」ことを想定して作られています。
そのためカード収納部が摩耗したり、破れたりするケースは少ないです。

・軽いので持ち運びが楽、使う時もスムーズ

金属製のキーは頻繁に使うためのものなので、指先でつまんで持っても、ほとんど重さを感じることはありませんよね。
ですが、他のキーと一緒にキーホルダーに繋いでいたり、ファッション用のストラップを付けていたりする場合は少々事情が異なります。
持ち運ぶ際や取り出して使う際にジャラジャラと音がする、ポケットの出口に引っかかって困る、といった悩みが発生します。

その点カードキーは、キーホルダーに繋ぐこともなければストラップを付けることもありません。
財布やカード入れにスッキリ収納でき、取り出して使うのもスムーズです。

・ピッキングが不可能で防犯性能が高い

他のキーレス錠も同じですが、カードキー錠は基本的に鍵穴を使わないタイプの錠前なので、鍵穴に特殊工具を差し込んでこじ開ける「ピッキング」という手口が通用しません。
空き巣などがよく使うピッキング手口を不可能にすることで、不正侵入されるリスクを大きく減らすことができます。

盗んだり拾ったりしたカードキーの複製も、専用の特殊機材と知識がなければ不可能です。
こじ開けも合鍵の作製も簡単な鍵穴式の物理錠とは異なり、不正侵入の手段をIT機器の性能で防げる安全性の高さが、カードキー錠の一番のメリットと言えるでしょう。

3. 玄関の鍵をカードキー錠にするデメリット

一見するとメリットが多いように見えるカードキー錠ですが、電子機器特有の弱点は存在します。
本項で解説するカードキー錠のデメリットも知っておけば、玄関の防犯性アップにも鍵トラブルの予防にも役立つでしょう。

カードキー錠のデメリット

・動かすのに電池や電源配線が必要

カードキー錠などの電子錠は、物理的な仕組みで動く金属製の錠前とは違って、内蔵電池や電源からの配線で動く仕組みです。
そのため電池切れや停電、漏電といった電気系統のトラブルがつきもので、鍵穴にキーを刺す物理錠にはないデメリットがあると言えます。

・電子機器のため水濡れに弱い

一般家庭の玄関ドアでカードキー錠が使われるのは、戸建て住宅の玄関よりも集合住宅の玄関ドアが多いです。
なぜかと言うと、電子機器のため水濡れ厳禁なので、雨水がかかりやすい露出式の玄関では使えないからです。

集合住宅の玄関は、建物内の廊下にあって雨水が入り込みにくい構造のところが多いです。
そのため雨に濡れる心配がないので、防犯性能が高いカードキー錠が広く普及しています。
同じ理由で、ホテルの部屋のドアや会社内の部屋のドアも、水濡れの心配が少ないことからカードキーがよく使われています。

・ICチップの摩耗や磁気テープの破損トラブルがある

カードキー錠で鍵開けに使うプラスチック製カードは、キャッシュカードなどのカード類と同じように、ICチップや磁気テープが破損すると使えなくなることがあります。
また、カードに付着した汚れが認証時の読み取りを妨げるトラブルも発生します。
金属式の物理鍵はスマートさに欠けますが、電子部品を一切使わない原始的な仕組みなので堅牢製は高いです。
多機能で高性能の電子錠は、その性能と引き換えにデリケートな弱点も持ち合わせていることに注意しましょう。

・製品価格が高い

鍵穴を使うタイプのドア錠は、部品価格が高い物でも30,000円～40,000円くらいが相場です。
さらにシリンダー錠は鍵穴部品のみの交換も可能なので、場合によってはシリンダーの部品価格の3,000円～10,000円前後で防犯性能を強化することもできます。

一方でカードキー錠は、電子部品が使われているため部品価格が高いです。
カードキー錠の価格相場は、安いもので20,000円前後から、高いものでは80,000円前後。
テンキーや指紋認証など複数の認証機能を備えたタイプでは、部品代だけで100,000円を超えることも珍しくありません。

4. カードキー錠のトラブル時の対処法

便利で見た目もスマートなIT製品は、電子機器の特性上、トラブル時の対応が難しいのがデメリットです。
カードキー錠も例外ではありませんから、いざという時の正しい対処法や、余計な二次被害を引き起こさない安全な対処法をぜひ覚えておいてください。

カードキー錠のトラブルを安全に解決する方法

・カードキーを紛失した場合～身近な場所をくまなく探す

カードキーでも金属製の物理キーでも、紛失に気付いた時にまずやるべきことは、「身近な場所をくまなく探してみる」ことです。
キーの紛失トラブルで鍵開け依頼をいただいた際、スタッフの到着前にお客様が失くしたキーを発見して、そのままキャンセルされることがあります。

失くしたキーが見つかりやすい場所のトップ3は、

①着衣のポケットや、カバン・ポーチなどの手持ち品の中
②自宅や車内などの身近な場所
③警察

です。

まずは着衣のポケットや手持ち品の中をくまなく探し、次に自宅内の部屋や、机の引き出しの中などを探しましょう。
外で落とした可能性がある場合は、無理に自力で探すよりも警察に届け出る方が安全です。
紛失に気付く直前にお店や駅などの施設を利用していた場合は、そこのスタッフに鍵の落し物がなかったかどうかを聞いてみましょう。

・注意・賃貸住宅のカードキーを失くしたら管理会社に連絡する

賃貸住宅のカードキーを失くした場合は、管理会社の許可なしに新しいカードキーを作成したり、カードキー錠の本体ごと交換したりしてはいけません。
賃貸物件では付帯設備のトラブル対処も管理会社の役目なので、入居者が勝手に修理したり変更を加えたりすると契約違反になってしまいます。
新しいカードキーの作成も、カードキー錠本体の交換も、前もって管理会社の承諾を得ておかないといけません。

・カードキー錠が反応しない場合～①本体の読み取り部を掃除する

カードキーを本体の読み取り部にタッチ、または接近させても反応しない場合は、本体読み取り部の汚れや故障をまず考えましょう。
カードの磁気テープやICチップの情報を読み取るセンサー部は、とてもデリケートで精密な作りになっています。
そのため汚れが溜まっていると、カードを正しく認証できなくなって動作不良を引き起こします。
読み取り部の表面を乾いた布で拭いてから、もう一度解錠操作を試してみましょう。

・カードキーが反応しない場合～②内蔵電池を交換する

電気を動力にするタイプの電子錠は、厳密に分類すると「内蔵電池で動く電子錠」、「電源から配線を引いて動く電気錠」の2タイプに分かれています。
電子錠は電池の摩耗や劣化で動かなくなるケースが多いので、電池を新しいものに交換して、動くかどうか試してみましょう。

電気錠の場合は、点検や修理に電気工事の専門知識が必要です。
メーカーや販売店、または電気錠にも対応可能な鍵屋に依頼しましょう。

・カードキーが反応しない場合～③メーカーや販売店、鍵屋に依頼する

読み取り部を掃除しても反応しない、または電気錠が反応しなくなった場合は、無理に自分で分解点検しようとするのは危険です。
電子機器の修理には高度な知識と機材が必要になりますので、メーカーや販売店に問い合わせるか、最寄りの鍵屋に点検修理を依頼しましょう。

高性能な電子部品が組み込まれているカードキー錠は、物理的な仕組みで動く鍵と比べてトラブル時の対応が難しくなっています。
専門業者でない方の分解修理は、精密部品を破損させたり感電したりするリスクがあるので、絶対にしないでください。

なお、鍵のかけつけ本舗ではカードキーにまつわる対応実績も豊富にございます！
千葉県市川市　カードキー修理
埼玉県さいたま市　住宅玄関開錠

お見積り・出張費は無料、追加費用0円、即日の対応も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

5. 業者に依頼する際の費用目安と注意点

自分ではカードキー錠の後付けや交換作業が難しい、不具合の解決は無理そうだと感じたら、プロの業者に依頼するのがお勧めです。
本項では、鍵のプロである鍵屋に依頼する際の費用目安と、悪質業者に騙されないための安全な依頼の流れを解説します。

鍵の悩みは鍵屋に依頼！費用目安と依頼の流れ

・費用目安～カードキー錠の鍵開け・設置・交換

カードキー錠の困りごとで鍵屋に依頼する場合、「出張料金＋作業料金」が費用内訳の基本になります。
新規設置（後付け）や交換を依頼する場合は、新しく取り付けたいカードキー錠の一式価格が「材料費」の名目で加算されます。

【カードキー錠の鍵開け費用】
安い場合で総額30,000円前後、高い場合で100,000円前後が相場です。
解錠操作に電子機器の特殊認証が必要なカードキー錠では、カードキーの紛失時や故障時の鍵開けに、特殊な機材と専門知識が必要です。
そのため鍵穴に金属キーを刺して開け閉めする鍵よりも、鍵開け費用が高くなります。

【カードキー錠の新規設置・後付け費用】
カードキー錠を新しく設置する場合は、部品代込みで総額50,000円前後～100,000円前後が目安になります。
新しく取り付けたいカードキー錠の一式を既に購入している場合は、部品代がかかりませんので、出張料金＋作業料金のみの30,000円前後が目安になります。

【カードキー錠の交換費用】
新規設置・後付けのケースと同じく、新しく取り付けたいカードキー錠を一緒に購入するかどうかで費用目安が変わります。
部品代込みのカードキー錠の交換費用は、総額50,000円前後から100,000円前後です。

カードキー錠の設置や交換にかかる費用は、「どんなカードキー錠を新しく取り付けたいのか？」が大きく影響しています。
必要最低限の機能だけあればいいのか？
多機能や高性能も求めたいのか？
依頼する前にあらかじめ、予算と方針を決めておきましょう。

・依頼までの流れ～①ホームページの料金説明をしっかりチェック

悪質住宅リフォーム業者のトラブルが、度々ニュースになっています。
実は鍵屋の中にも悪質業者は存在しており、今年（令和4年）の２月には東京都内の鍵屋2社が、不当な高額請求や法律違反のキャンセル拒否を行ったとして業務停止命令を受けました。

ホームページで業者の良し悪しを判断する際は、単一の低料金の記載だけでなく「依頼例ごとの詳細な料金説明」があるかどうかを探しましょう。
お客様の安心に配慮している業者は、料金説明を詳しく丁寧に表示していることが多いです。
また、依頼内容を選んでいくと総額料金の目安が表示される、選択肢式の簡易見積り機能を備えたサイトもあります。

反対に悪質業者は、「鍵開け○千円～」などと単一の低金額しか記載しないところが多いです。
そして実際に依頼してみると、想定外の作業や不要な機材を追加されて、数万円や数十万円といった高額な請求が来ることもあります。

料金設定を固定しにくいのは生活トラブル解決業者の悩みどころですが、少しでも料金説明が丁寧・明瞭な業者を選ぶのがトラブル回避のコツです。

・依頼までの流れ～②電話時の対応や説明の丁寧さをしっかりチェック

ホームページやチラシなどで気になる業者を見付けたら、そこに記載されている電話番号に電話をかけて依頼することになります。

電話で業者と話す際は、

①こちらの状況や要望を丁寧に聞き取ってくれるか？
②キャンセル料金の金額や、キャンセル料金が発生するタイミングの説明はあるか？
③見積り料金を聞いた時に、「実際に作業しないとわからない」などと誤魔化さないか？

この3点を忘れずにチェックしておきましょう。

お客様の無知に付け込もうとする悪質業者は、言質を取られて矛盾点を指摘されたり、「さっきはこう言っていたじゃないか！」と反論されたりするのを防ぐために、依頼前の詳細説明や明瞭な料金案内を避けたがる傾向にあります。

優良な業者ほど事前説明を丁寧にしていますので、電話口での対応姿勢のチェックもトラブル回避のカギになります。

・依頼までの流れ～③家に入れず外でスタッフ到着を待つ場合

玄関の鍵トラブルの特徴は、「家に入れず戸外で鍵屋の到着を待つお客様が多い」ことです。
このため女性の方が夜間に鍵屋を呼ぶ場合は、痴漢に目を付けられないように、いざとなったらすぐに助けを呼べる場所で待ち合わせるようにしましょう。
車の車内や近くのコンビニ、24時間営業の施設などがおすすめです。
また、夏場の猛暑や冬場の冷え込みが厳しい時期に、無理をして屋外で待とうとするのは避けましょう。
優良業者はお客様の安全をまず考慮しますから、「○○のお店の中で待っています」など、安全に時間を過ごせそうな待ち合わせ場所を指定するのがおすすめです。

なお鍵屋のほとんどは、作業前に依頼者様の本人確認を必ず行っています。
免許証や保険証など本人確認に使える書類がお手元にない場合は、安全のため警察官の立ち合いを求めることになりますので、交番内で待たせてもらえるように頼んでみましょう。

玄関の鍵をカードキー錠にしたい！　まとめ

薄型カードをサッとかざして操作するカードキー錠は、見た目も操作もスマートなハイテク感が魅力ですよね。
とは言えハイテク機器特有のメリットとデメリットを兼ね備えている関係上、安全に使いこなすためには正しい知識が必要です。
今付いている鍵とカードキー錠の長所・短所を比較して、後付けや交換の必要性を慎重に判断しましょう。
カードキー錠以外のキーレス錠があることも知っておき、家族構成や生活スタイルに合わせた最適な鍵を選びましょう。
電子錠は部品価格が高いので、どれを買えばいいのかわからない時は、無理に自己判断するよりもプロの鍵屋に任せてしまうのがおすすめです。
鍵屋に依頼する時は、ホームページの料金説明や電話対応の丁寧さを慎重にチェックして、誠実そうな印象の業者を選ぶようにしましょう。