プロが教える家庭の防犯ノウハウ。安全の達人になろう!

  • 鍵の防犯性

鍵のプロである私たち鍵屋ですが、実は「防犯のプロ」でもあることをご存知でしょうか?
なぜなら、玄関や窓といった「外部からの不正侵入を防ぐための鍵」を扱うのが鍵屋。
あるいはロッカーや金庫など、「盗まれたくない貴重品の保管場所の鍵」を扱うのも鍵屋ですよね。
より効果的な鍵の提案が出来るよう、鍵屋は日々防犯知識の集積に努めている
というわけです。

今回のコラムでは、鍵屋としてではなく防犯のプロとして、「すぐに役立つ実践防犯ノウハウ」をお教えします。
自分と家族の安全な暮らしを守る、簡単で効果的な知識が満載です!

基本知識・どんな家が狙われやすい?

空き巣などの侵入窃盗、または性犯罪目的の侵入など、家庭を取り巻く犯罪リスクは様々です。
しかしどのような犯罪者でも、基本的に「見つかりたくない、捕まりたくない」意識で実行を判断しています。
隙がある家は狙われやすく、逆にガードが固い家は狙われにくくなるのです。
まずは「狙われやすい家(地域)の特徴」を知っておき、自分の住む場所が当てはまっていないか確認してみましょう。

周囲に建物や人通りが少ない

侵入時に周囲から見つかりにくい環境では、家の中の気配だけに集中すればいいので侵入は楽になります。
都会から離れた過疎地や、周辺に空き地や公園が多い場所では、人や車の通行が少なめになるので犯行にはうってつけです。
近隣の家や店が少ない、またはあっても距離が離れているような場所は、他の建物の住人が気付きにくい環境と言えます。
第三者から見られにくいだけではなく、大声を出したり激しい物音を立てたりしても、誰かが聞きつけて助けてくれる可能性が低くなります。

発展した街中にある家でも、「玄関口が小路の奥まったところにある」ような場合は人目に付きにくいものです。
隣の家や建物と隣接している場合も、その建物の「窓がない壁側と接している」なら要注意。
窓がなければ外の様子は分かりませんし、音が通りにくくなるので気付いてもらえる可能性はほとんどなくなってしまいます。

高い塀や生け垣に囲まれている一軒家

塀や生け垣でぐるりと囲まれている家は、一見すると防犯性が高いように見えますよね。
しかし実はその逆で、「一旦敷地に入りこめば周囲から見つかりにくい遮蔽物」にもなるため、こうした家は侵入しやすい好条件の家なのです。
腰あたりの高さまでならいいのですが、外から敷地内の様子がほとんど覗けない場合は危険性が高くなります。

マンションなど集合住宅の1・2階と最上階

集合住宅に住んでいる場合、自分が住む建物のベランダ付近を観察してみましょう。
1階が侵入されやすいのはもちろんですが、実は2階くらいの高さでも、身軽な人がよじ登るのはそう難しくないのです。
また2階以上に住んでいる人は、「この高さならまず侵入はないだろう」と油断しがち。
ベランダの窓や鍵を開けっぱなしにしておいて、身軽な不審者にするりと入りこまれる事例が多く見られるのはそのためです。
2階までの高さなら、万が一足を踏み外して落下しても軽いケガで済みますよね。
なので2階とはいえ油断は禁物、というわけです。

また意外ですが、最上階の部屋のベランダから侵入されるケースもあります。
マンションの最上階は、屋上からぶら下がるような方法を使えば案外侵入しやすいのです。
この場合は失敗すると一大事ですが、分譲マンションの上層階は部屋の価格が高く、住人の生活レベルもそれなりに比例してきます。
なので最上階の部屋は、窃盗犯にとって「最も油断されやすく実入りも良さそうな穴場」になっているのです。

近隣住人同士の交流がほとんどない

自宅に侵入しようとしている不審者がいる場合……
仲の良い隣近所の住人がいれば、すぐに気付いて通報してくれるかもしれませんよね。
でも普段から交流などほとんどなく、名前も知らないような人ばかりだったらどうでしょう?
他の家の状況など気にすることもありませんし、何か異変に気付いても「他の家は関係ない」とばかりに無視を決め込むのが普通ではないでしょうか。
きっと普段のあなたも、隣近所の家に対してはこんなスタンスでいるはずです。

田舎に行くと、住人同士が皆顔見知り、あるいは身内ということも珍しくありません。
ですが大きく発展している街中ほど、逆に個人のプライバシーが尊重されやすい傾向があります。
近隣住民の交流が意外に少なく、隣近所の異変にも見て見ぬふり…ということもよくありますよね。
都会になると人の多さがマイナスに働き、「近隣に住む住人の顔や名前を特定しにくい」というデメリットも生まれます。
交流の少ない地域は、不審者が入りこんでもすぐには気付かれにくい危険を秘めているのです。

犯罪者に狙われないための対策

狙われやすい家や地域の特徴がわかれば、その逆の環境づくりをすることが効果的な防犯につながります。
既にある建物を変えたり動かしたりするわけにはいきませんが、ほんの少しの工夫で犯罪被害のリスクを減らすことは可能です。
具体的にどうすればいいのか、狙われないためにどんな対策を講じるべきかを見てみましょう。

周囲から気付かれやすい環境を作る

まず第一の対策として、「犯罪者が一番嫌がることをやる」。
つまり、「見つかりやすい、気づかれやすい環境」を作るように心がけましょう。

これから家を購入する、または借りる場合、「その家の敷地や侵入口が周囲から見えやすいかどうか」を基準に判断するのが良いでしょう。
環境重視で静かな場所…建物が密集しない田舎や自然の近くに住みたければ、「自宅の敷地に身を隠せるような障害物がない」家を選びましょう。

夜間の対策として、家の周りに暗闇を作らないことも有効です。
通販などで屋外用のセンサーライト(数千円程度)が手軽に購入できますから、玄関周りや侵入可能な窓の付近に設置するといいでしょう。
侵入者は明るい場所を嫌がります。
夜間の家の明かりは、出来れば常時点灯しっぱなしなのが理想です。
ですがそれでは電気代がかかりますし、なにより住む人の体内時計が狂わされてしまいます。
センサー式ライトの一番のメリットは、電気代の節約以上に「点灯・消灯の変化が起こる」ことです。
「いつも明るいまま」よりも、「いつもは暗いはずなのに突然明るくなっている」ほうが変化に気付きやすいものです。

ホームセンターや園芸店で砂利を購入し、敷地を砂利敷きにするのも有効な対策です。
侵入者は不用意に音を立てることを一番嫌うため、足音がダイレクトに響きやすい砂利は大敵なのです。
玄関やベランダにひと工夫して、出入りの際に音が出る仕掛けをする方法もあります。
人の気配などを感知して音を出すセンサーアラームも、センサーライト同様に数千円から購入可能です。
風鈴のようなものをドアや窓の近くにぶら下げ、開け閉めで音が出るような仕組みを自作するのも面白いかも知れませんね。
こちらは安上がりで風情もたっぷりですが、音が小さいと意味がない点は要注意です。

カーテンを閉めっぱなしにしない

日中にも関わらずカーテンが閉まったままの部屋をよく見かけます。
プライバシー保護の目的でしょうが、これは外から中を覗かれにくくなるのと同時に「家の中から外の異変に気付きにくくなる」リスクもあります。
特に女性の一人暮らしの場合、覗きや盗撮などの被害を防ぐ目的でついカーテンを閉めたくなりますよね。

風呂場の脱衣所や着替え中の部屋などは、もちろんカーテンは閉めておくのが普通です。
ですが中に人がいない時や、見られて困るような恰好をしていない時は、なるべくカーテンを開けるようにして視界の隙を減らしましょう。
こうした部屋は室内ドアも開放しておき、廊下から部屋の中や窓の外を見えやすくするのも不審者への防犯アピールになります。
使うときだけドアを閉めたり、カーテンで目隠しをすればいいのです。

また、旅行や外泊などで数日家を空けるような場合「カーテンは開けたままにする」のがお勧めです。
閉めっぱなしで出かける家をよく見ますが、日中カーテンが閉まったままだと目立ちますし、外部との交流が少なそうな家だと思われてしまいますよね。
これは元イギリスの特殊部隊のサバイバル教官も勧めている、家庭の防犯テクニックのひとつです。

近隣住民と交流を深めておく

最も安上がりで強力な防犯システムは何か、ご存知でしょうか?
それは、「隣近所の気配り」です。
どれほど高性能なシステムを備えた家も、周囲が無関心だと防犯効果は半減してしまうものです。
反対に全く無防備なように見える家でも、周囲がすぐに気付いてフォローしてくれる環境下では犯罪者が手を出しにくくなるのです。
少なくとも、「自宅の両隣・向かい・真裏」の4方向の家の住人とは、お互いに顔も名前も知っているような関係を築いておきましょう。

マンションの場合は、「同じ階と真下の部屋の住人」です。
集合住宅では、下の部屋の物音はまず聞こえてくることなどありません。
ですが上の部屋の物音は、床を歩く足音や物を動かす音などがよく響いてくるものです。
真下の部屋の住人と顔見知りになっておけば、自室で異変があった時に音で気付いてくれる可能性が高くなります。

近隣住人とは、出来れば身の上話もなるべく深くしておきたいものです。
お互いに生活パターンを掴みやすくなりますし、不審者が家の周りをうろついていても「あの家とは関係ない人だよね…?」と、気付いて知らせてくれたりします。

ゴミや汚れを小まめに掃除しておく

家の周りを清潔にしておくことは、不審者を寄せ付けないバリアーの代わりになります。
犯罪者は「犯行後になるべく証拠を残したくない」ものですよね。
ターゲットの家の内外が乱雑に汚れていると、地面に足跡が残りにくくなったり、遺留品を発見されにくくなったりします。

またゴミや汚れが放置されていると、「その場所に付近の住民が無関心」ということをアピールするのと同じです。
ゴミがあったら片付けて、汚れた場所はいつもピカピカに磨いておくこと。
こうすることで環境美化に役立つだけではなく、「不審者の痕跡を残りやすくする」「住民の監視体制の強さを知らしめる」効果も期待できるのです。

生活の行動パターンは時々変える

用心深い窃盗犯や強盗などは、目星をつけた家の様子を数日間観察することがあります。
住人の生活・行動パターンや、周辺住人の関連度、防犯設備の有無などです。
空き巣などの侵入窃盗犯罪は、日中の「10時~14時」の間が最も発生件数が多くなっています。
人が確実にいる夜間や真夜中よりも、仕事や学校などで不在になる時間帯が安全…というわけです。

時間がほぼ決まってしまう通勤・通学はともかく、お昼ごはんの買い物などある程度自由に時間を選べる行動では、「毎日同じ時間に動くことは避ける」のが肝心です。
なぜなら、「いつも同じ時間に家を空けることを犯罪者に知られてはならない」から。
30分~1時間程度ずらしながら、ランダムな行動パターンを見せつけるのも防犯テクニックのひとつになります。

玄関ドアやポストの周りをチェックしておく

泥棒が家に狙いをつける時、目印として玄関周りにシールを貼ったり、小さな記号を書き込んでいたりすることがあります。
これは「マーキング」と呼ばれるもので、セールスマンなども似たような目印を付けることがあります。
その家の家族構成や訪問者への対応ぶりなどを表す記号で、他の仲間に知らせたり、後日押し入る家の目印に残すものです。

自分の家の玄関周りに見慣れないシールや記号を見つけたら、すぐにはがすなり消すなりして下さい。
また、ご近所の家の玄関付近にマーキングらしいものを見つけたら、家の人に教えてあげるといいでしょう。
マーキングを付けた本人が消されたことに気付けば、その家の防犯意識の高さを知って諦めることも期待できます。

もしも不審者を見つけたら

自宅や近所で見知らぬ人物がうろついている時、あなたならどうしますか?
家々の様子を覗き込んで様子を窺うような行動や、玄関先でドアやポストを弄り回しているような場合です。

自宅や近所の家を覗いている不審者がいたら

おすすめの方法は、「こんにちは」「何か御用ですか?」とすぐに声をかけること。
見知らぬよそ者が警戒されやすい地域、という印象を広く知らせることが重要です。
声をかけずにジロジロ眺めるだけでは、見られていることに気付かない不審者が犯行に及んでしまう場合もあります。
気付いていることを知らせるアクションが、防犯には一役買ってくれるというわけです。

マンションで1階の共用エントランスがオートロック扉の場合は、その付近でウロウロしている人がいたら要注意です。
「オートロックのマンションは住人や関係者しか入れない」、と思い込んでいませんか?
ですが不正侵入を目的とする不審者は、「玄関付近で住人の出入りを待つ」手口を使うことがあります。
住人や訪問者が自動ドアを通過する際、何食わぬ顔で付いて行って一緒に入ってしまうわけです。
普段見かけない人が共用エントランス付近にいたら、やはり声がけするのが効果的です。
住人の知人やセールスマンなど訪問先がはっきりしていれば、即座に「○○号室の○○さんを訪ねてきました」と返ってくるはず。
そうではなく、お茶を濁すような曖昧な態度の場合は、まず不審者と疑ってかかりましょう。

自分の家や近所の家に不審者が入りこんでいる場合

既に家の中に入られてしまっているケースでは、まず「相手が逃げるように仕向ける」「周囲に異変を知らせる」ことを第一に考えましょう。
下手に捕まえようとしたり、立ち向かうような素振りを見せることは厳禁です。
なぜなら相手を追い詰めてしまうと、逆上して襲い掛かってくる危険があるためです。
自宅であれば、自分と家族。
近所の家なら、中にいるかも知れない住人の安全をまず確保しなければなりません。

こんな時はまずいったん落ち着いてから、大声を出して周囲に助けを求めましょう。
慌てた状態で叫んでも、上手く声が出せずに遠くまで響かないものです。
落ち着いて状況を把握してから、お腹の底で声を絞り出すように叫びましょう。
また相手が逃げやすくなるよう、窓や玄関への通路を開けておくのもポイントです。