サムターンの交換方法をプロが解説~交換手順や失敗例

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空き巣の侵入手口の紹介などで、「サムターン回し」という言葉が頻繁に登場します。
鍵の機能上重要な役割を持つサムターンは、ドアの防犯を強化する上で忘れることの出来ない部品です。
今回はおもに「自宅玄関のサムターン交換」をお考えの方に向けて、詳しい手順や注意点などを解説します。

1. サムターンの種類

どこのドアも同じようなツマミに見えるサムターンですが、実はそれぞれに細かい仕組みの違いがあります。
様々な侵入対策の工夫が施された、サムターンの種類を見ていきましょう。

サムターンの回転を制御するタイプ

・空転サムターン

室内側から複雑な操作をしない限り、サムターンが空転して解錠出来ないタイプです。
室内側のツマミを外から動かす「サムターン回し」の手口は、「⊥」字型ツマミの付き出し部分の端を引いて回す・押して回すの操作しか出来ません。
そのため複雑な操作が必要なタイプは、手ではなく工具を使う手口の弱点を衝いて、操作を難しくしているのです。
空転式サムターンの操作タイプは、「ツマミを押し込みながら回す」ものや、「室内側のキーを使って鍵穴で制御する」ものなどがあります。

・偏荷重サムターン

室内側から普通にドアを開ける時、ツマミには均等に指の力がかかっています。
偏荷重サムターンは、外から工具を突っ込んで押し当てるなど、サムターンにかかる力が偏っている場合に空転する仕組みです。
指でつまんで回さない限り、ツマミが空回りしてドアを開けることが出来ません。

サムターンの状態を変えるタイプ

・脱着式サムターン

「内側にツマミがあるから不正解錠の手段が増える。だったらツマミをなくしてしまえば良いじゃないか!」
こんな発想で生まれたのが、取り外し可能な脱着式サムターンです。
室内側で脱着が可能なので、在宅時の侵入対策はもちろん、外出の際も外して保管しておくことで侵入被害を防げます。
サムターンがない以上、鍵穴を使わなければ解錠不可能になるわけです。

・球面型サムターン

一般のサムターンは、指でつまんで回しやすいように細長い形をしていますよね。
ところが球面型サムターンは、卵のようにつるっとした球形をしています。
外から工具を引っかけたり押しつけたりするやり方では、引っかかりのない球面で上滑りしてサムターンを回せません。
室内側から手のひら全体で包むように掴み、さらに押し付けながら回すことで鍵が開く仕組みになっています。

2. サムターンの交換に必要な道具

自力でサムターンを交換する場合は、必要な道具を予め揃えておきましょう。

交換用のサムターン

・シリンダーに取り付け可能なサムターンを用意する

サムターンは、シリンダーの種類によっては取り付け不可能なものもあります。
今使っているシリンダーに対応可能なサムターンを用意しましょう。

ドライバー

・プラスドライバー2~3本、マイナスドライバー1本

プラスドライバーとマイナスドライバーが1本ずつ、最低でも必要になります。
ただしプラスネジが2~3種類ありますので、プラスドライバーはサイズ違いで数本用意しておくと安心です。
マイナスドライバーは、フロントプレートの板と中のピンを引き抜く時に使います。
小さめで先が薄いタイプが使いやすいでしょう。
表面の隙間に引っ掛けて「てこの原理」で引き抜くような作業なので、薄くて平たい金属工具であれば他のものでも代用可能です。

他にもあると便利なもの

・白い布、または小皿

サムターンの交換では、取り外したビスなどの部品をなくさないよう厳重に管理しなくてはいけません。
白い布が一枚あれば、置いた部品が見やすいので便利です。
また、灰皿ほどのサイズ小皿も使えます。
底が深い形状なら、中の部品が転がったり風に飛ばされたりする心配がありません。

3. サムターンの交換手順

ドアノブ交換や鍵一式の交換とは違い、サムターンのみの交換は比較的手軽で簡単です。
DIYに自信がない方はこのページをブックマークしておき、慎重に作業を進めて下さい。

実際の交換手順

・今付いているサムターンを外す

①まずはドアを開けた状態にして、ドアストッパーなどで固定します。
ドアノブや鍵の部品交換は、作業中にドアが閉まると開けられなくなる可能性があります。
②室内側ツマミのビスを外します。
ツマミに隠れて見えない場合は、ツマミを回して露出させましょう。
ツマミ部分が外れたらその奥に2本のビスが現れますので、これも外します。
③ドア側面のかんぬきが飛び出るあたりに、細長い金属板「フロントプレート」が嵌っています。
上下の2本(または4本)のビスを外し、フロントプレートを取り外しましょう。
④フロントプレートを外したら、その奥に箱錠と呼ばれる部品が見え、表面にピンが4本刺さっているのがわかります。
□形の頂点に当たる位置にピンが配置されているので、室内側の上下2本だけを抜きましょう。
なお室内側のピンを抜くとサムターンの台座が外れますので、落としてなくさないよう注意してください。
ピンを抜く際は、薄手のマイナスドライバーなどを頭の皿に引っ掛けるとやりやすいです。
➄上記の手順を逆にたどりながら、新しいサムターンを取り付けましょう。

・新しいサムターンの取り付け手順

新しいサムターンの取り付け手順は、古いものを外した時と真逆になります。

①サムターンの台座を穴に嵌め、箱錠のピン2本を刺して固定する
②フロントプレートを箱錠にかぶせてビス止めする
③サムターンの台座をビス止めする
④ツマミ部品を台座に嵌めてビス止めする
➄ツマミとかんぬきが正しく動くことを確認する

4. サムターン交換でよくある失敗例

いくつかの部品が噛み合いながら動くドア鍵は、交換方法をひとつ間違えただけでも正しく機能しなくなります。
やってはいけない失敗例を頭に入れ、ミスのないように注意しましょう。

部品に関する失敗例

・交換出来ないサムターンを選んでしまった

サムターンはそれだけで独立しているわけではなく、シリンダーとセットで機能する部品です。
そのためシリンダーの種類によっては、取り付けが不可能なサムターンもあります。
サムターンを選ぶ際は、今使っているシリンダーに対応していることを確認しましょう。
シリンダーの鍵穴の上にメーカー名が刻印されています。
そのメーカーに対応するサムターンであれば、取り付けられる可能性が高いです。
交換可能なサムターンがわからない場合は、鍵屋に相談するのがお勧めです。

・外した部品をなくしてしまった

ビスやピン、または古いサムターンを外した際に、うっかり紛失してしまう例があります。
ドア鍵の交換は必ずドアを開けた状態で行うので、風が強い日などは細かい部品が飛ばされやすくなります。
また、サムターンの台座は箱錠のピンを抜いた時点で外れます。
一定の高さから落下するので、落としてしまうと遠くに転がる危険があります。
交換時はドアの周囲に余計な物を置かず、うっかり部品を落としたり転がしたりしても探しやすくしておきましょう。

作業上の失敗例

・ビスやピンの付け忘れ

注意力が散漫な人に時々見られるケースで、「付けるべきビスやピンを付けていない」事例もあります。
DIYが苦手な人が組み立てや修理などの作業をする時、ビスがなぜか余ってしまう”あるある”と似ています。
鍵の部品は、ガッチリ固定されるからこそ防犯に役立つものです。
ビス1本、ピン1本も余さないように、外した部品は全て正しく取り付けましょう。

・ビス穴を潰してしまった

プラスネジを回す時、ドライバーのサイズが合わずに上滑りすることで山が削られ、回せなくなることがあります。
回転力の強い電動式ドライバーで起こりやすいミスですが、手回しの通常ドライバーでも力加減のミスによって発生します。
サムターン交換では2~3種類のビスを回すことになりますので、サイズ違いが起こらないよう複数本のプラスドライバーを準備しましょう。

電動式ドライバーを使う場合は、サイズがぴったり合うビット(先端の交換部品)を取り付け、ネジ穴に真っすぐ押し付けながら回すようにしましょう。

5. 正しく交換出来ている?作業後のチェックポイント

鍵に関わる部品の交換作業では、作業後の動作確認が最重要項目です。
これを忘れると、せっかく手間とコストをかけた作業が無駄になってしまうこともあります。
ミスを早めに発見出来れば大幅にロスを減らせますので、以下のチェックポイントをしらみ潰しに確認していきましょう。

一般的なサムターンのチェックポイント

・ツマミの動作確認

交換部品の動作確認は基本中の基本です。
ツマミを数回回しながら、引っ掛かりや開閉の渋さがないか確かめましょう。
ビスを強く締め過ぎると、解錠・施錠の動きがキツくなることがあります。
その場合はビスを若干ゆるめにし、再度動作確認を行ってください。

・キーを刺して回す時の動作確認

サムターンの取り付け状態は、鍵穴があるシリンダー(室外側)の動作にも影響を与えます。
鍵穴にキーを刺し、数回回してきちんと動くかチェックしましょう。
この時、ドア側面のかんぬき「デッドボルト」の飛び出しや引っ込み具合も目視で確認してください。

・ドアノブの動作確認

サムターンやシリンダーのみの交換は、ドアノブの動きに与える影響は少ないです。
ですがDIYに慣れていない人の場合、ドア側面のフロントプレートの位置ずれなどで影響を与えてしまうことがあります。
ドアノブを数回動かし、側面の∠型のかんぬき「ラッチボルト」がスムーズに出入りすることを確かめましょう。

防犯型サムターンのチェックポイント

・サムターンキーが脱着出来る・正しく動作することの確認

室内側ツマミを取り外せるタイプは、取り付けの不具合によってツマミの脱着がしにくくなる場合があります。
サムターンをキーのように刺して回すので「サムターンキー」と呼ばれますが、このサムターンキーの脱着と動作の確認も忘れずに行いましょう。

・サムターンカバーが脱着出来ることの確認

サムターン用防犯グッズに、円筒状のカバーで囲って外部干渉を防ぐものもあります。
古いサムターンでカバーを付けていた場合は、新しいサムターンでも問題なく使えるかどうか確認しましょう。

6. サムターン交換にかかる費用

サムターンにも鍵と同じくいくつかの種類があり、防犯性能などで価格が変わってきます。
鍵屋への依頼ではさらに費用が変動するので、おおよその費用目安を頭に入れておいてください。

自分で交換する場合の費用

・一般タイプのサムターンは2,000円前後

防犯用の機能がない一般的なサムターンは、大体2,000円くらいで買えます。
ただしサムターン回しに対して無力なので、サムターンカバーを付けるなど補強手段をお勧めします。

・防犯タイプのサムターンは3,000円~10,000円

防犯機能が備わっているサムターンは、安いもので3,000円台から購入可能です。
高くても10,000円以上するものはまずないので、比較的安価に防犯機能をプラス出来る手段になります。

鍵屋に依頼する場合の費用目安

・種類によって10,000円~40,000円ほど

鍵屋に依頼する場合、出張料金や作業料金の設定が各社で異なります。
そのため見積りを取ってみないと正確な費用はわかりませんが、部品代別で安くて10,000円前後。
高くなると40,000円くらいになる場合があります。
作業料金は、サムターンの交換手順の難易度、関連部品の劣化や損傷状態などで変動します。

7. サムターンの使用上の注意・サムターン回し対策について

外から不正に鍵を開けるサムターン回しは、「解錠ツマミは室内側から操作するもの」という盲点を衝いた手口です。
鍵穴を特殊工具でいじる「ピッキング」、ドア内部の箱錠を直接いじる「カム送り」などと並んで、比較的多く使われる傾向にあります。
使われる頻度が多いため、鍵穴だけでなくサムターンの防犯もしっかり意識しないといけません。
最後に、サムターン回しへの対策を説明します。

サムターンに施せる対策

・防犯用のサムターンを使う

ただのツマミが付いているだけの一般型サムターンは、不正開錠の防御効果は皆無です。
ツマミが取り外せるものや、ツマミを回すのに内蔵ボタンを押すものなど、外部からの不正操作を防げるタイプを検討しましょう。
指でつまんで回さないと空転するタイプも、不正解錠に強くなります。

・サムターンカバーを付ける

サムターン回しは、ドア表面に沿うように手または工具を滑り込ませ、内側のツマミを操作します。
室内から普通に開ける時のように垂直に干渉してくることはまずないので、サムターンの台座を囲うカバーを付けると効果的です。
カバーは円筒状になっていて、真正面から手を入れてツマミを操作することは出来ますが、上下左右からの不正な干渉はガード出来ます。
1,000円前後と安価なので、サムターン交換で一般型のタイプを選んだ場合はセット購入がお勧めです。
防犯用サムターンとセットで付けると、強力な防犯効果を発揮します。

サムターン以外の対策

・ドアのガラスを補強する

採光用のガラスが入ったオシャレなドアは、ガラスを破ってサムターンを回される手口も発生します。
針金入りや強化ガラスでない場合は、内側から防犯用のフィルムを張るなどして補強しましょう。
防犯フィルムが使えない場合は、外から見える場所に「警報装置作動中」などのステッカーを設置する方法もあります。
空き巣被害は住人が不在の日中に多いので、視覚に訴える威嚇グッズや警告表示が有効です(明るいので見えやすいため)。

・ドアの強度や建付けを強化する

建付けが悪くドア周辺の隙間が大きい、またはドア自体が薄いなど強度に欠ける場合も、サムターン回しのリスクが高くなります。
ドアの隙間は工具を差し込む経路になりますし、ドア板にドリルなどで穴を開ける強引な手段もあるからです。
ドアごとの交換や補強には手間もコストもかかりますが、上記に該当するおそれがある場合は、サムターンの防犯効果が無駄になる可能性も頭に入れておきましょう。

長く使っているドアは、蝶番のネジが緩んでガタつくことがあります。
古いドアは蝶番のネジも定期的に確認し、建付け不良で隙間が開いていないかどうかチェックしましょう。
ドア近くの壁に隙間やガラスがある場合も、サムターン回しで届きそうな位置なら要注意です。
パテ埋めや防犯フィルムで補強し、手や工具を突っ込まれる隙をなくしましょう。

サムターンの交換方法・まとめ

玄関ドアの防犯は、外側だけでなく内側の対策も重要です。
中でも大きなウェイトを占めるサムターンは、特に注意を払って防犯機能を検討しましょう。
ドア周りの穴や隙間も、侵入者にとっては絶好のチャンスになります。
鍵を中心に半径1メートル前後の範囲で、穴や隙間を開けられないよう対策を講じましょう。
自力で交換した際は、作業後の動作チェックや取り付け状態も念入りに確認しておきましょう。

鍵のかけつけ本舗では、鍵に関するどのようなご依頼も親身に承ります。
サムターンの部品選びや交換作業にご不安をお持ちの方は、ぜひ一度当社にご相談ください。
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創業以来の鍵トラブル解決実績・累計12万件以上。
当社へのご依頼をお考えの方から、今現在鍵のトラブルでお悩みの方まで、多くの方に安心・安全をお届けしているサイトです。

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ドアノブ、シリンダー、サムターン。
私たち鍵屋が玄関周りの防犯で扱う部品は、お客様にとっては身近に慣れ親しんだインテリアパーツでもあります。
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正しい知識を当社サイトで知っていただき、お客様の暮らしの快適と安全にお役立ていただければ幸いです。

【記事監修者】
島田 宏幸(しまだ ひろゆき)
1964年生まれ。富山県出身。主任錠前技術者。
「鍵のかけつけ本舗」創業時より在籍している、まさに熟練のプロ職人。
ピッキングの早さと精度は社内でもトップレベル。
警察の捜査に伴う開錠や、金融機関における業務用金庫の開錠など、数多くの鍵トラブルの解決に貢献。
今も現役で現場作業に携わるほか、教育担当としても後輩社員の指導や育成を行っている。
趣味は釣り、料理。