トラブル解決の必須知識!鍵の種類と仕組みをプロが解説

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【記事監修者】

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

主任錠前技術者

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機械類や部品類のトラブルを効率良く解決するには、仕組みと構造を知っておくことが欠かせません。
鍵の知識は鍵屋ならあって当然ですが、普段鍵を使う一般の方にこそ、身近なお役立ち知識として知っておいていただきたいものです。
今回は、さまざまな鍵の種類と動作の仕組み、基本的な構造を解説します。
鍵屋に依頼する場合の費用相場も載せておきますので、もしもの際にご活用ください。

1. 物理錠の種類と仕組み

鍵穴にキーを刺して開け閉めするタイプの物理鍵は、2重構造の筒状部品「シリンダー」に大きな特徴があります。
鍵穴がある内筒が回転するようになっていますが、2重の筒をピンやディスクなどの障害物が貫いていて、普段は回すことができません。
正しい鍵を鍵穴に刺すことで、鍵山の形に沿って障害物が動いて外れ、引っ掛かりがなくなって内筒が回るようになります。
様々な場所で多く使われている物理鍵の種類と仕組みの違いを知っておきましょう。

物理錠の種類と仕組みの違い

・ディスクシリンダー錠

板状の障害物「ディスクタンブラー」が内筒側に設置されている仕組みの鍵で、1900年代後半に普及した旧式のタイプです。
構造が単純で不正解錠に弱いという弱点があり、「ピッキング」や「レーキング」と呼ばれる手口で簡単に開けられてしまいました。
そのため2000年代に入る頃には生産終了するメーカーが出始め、次で紹介する「ピンシリンダー錠」に取って代わられています。

なお現在でも、築30年前後の古い建物ではディスクシリンダー錠が使われていることがあります。
防犯上そのまま使い続けるのは不安ですので、新しい鍵への交換をお勧めします。

・ピンシリンダー錠

ディスクタンブラーに代わり、細長いピン形状の「ピンタンブラー」が内蔵されている仕組みの鍵です。
このピンは外筒側に設置され、構造が複雑になることでディスクシリンダーよりも不正解錠に強くなりました。
ただしこちらも旧式であることには変わりなく、近年主流の改良鍵よりも防犯性で劣ります。

・ロータリーディスクシリンダー錠

ディスクシリンダー錠の弱点であった単純構造を克服し、U字型の回転式ディスクを採用した仕組みの次世代鍵です。
ピッキングにとても強く、本コラム執筆時の2022年現在、基本的な防犯鍵としてお勧めされています。

・アンチピッキング、ピンシリンダー錠

ピンシリンダー錠のピン形状を複雑にした「アンチピッキングピン」を採用し、ピッキングへの耐久性を高めた仕組みの高性能鍵です。
ピッキング手口で鍵開けする際、鍵穴に微弱な回転力(テンション)をかけ続けなくてはいけません。
アンチピッキングピンはこの手口を逆手に取り、正しい鍵を刺して均等に力をかけないと外れないようになっています。
こちらもロータリーディスクシリンダー錠と同じく、基本的な防犯鍵としてお勧めです。

・ディンプルシリンダー錠

ピンシリンダー錠をさらに複雑化させ、ピン本数と設置方向を増やした仕組みの近年主流の防犯鍵です。
手持ちキーがギザギザではなく、平らな板に小さな穴がいくつも開いているものを見たことはありませんか?
ディンプルシリンダーはピッキング解錠が難しく、プロの鍵屋でも鍵開けを断るところがあります。
当社ではディンプルキーも問題なく解錠可能です。

・マグネットシリンダー錠

この鍵はちょっと特殊な仕組みで、シリンダーと手持ちキーに小さな磁石が付いていて、磁力によって内部の障害物を操作する特殊な鍵です。
ピッキングによる物理的な開錠は不可能で、防犯性で言えば他の鍵よりも強力と言えるでしょう。
しかし一方でメンテナンスや修理などのコストが大きく、ほとんど普及していません。

・ウェーブキーシリンダー錠

一般の金属鍵は、手持ちキーの側面にギザギザがあります。
またはディンプルキーの場合、表面に小さな穴がたくさんあります。
それ以外の形状で、「緩やかな波状の刻み」があるキーを見たことはないでしょうか?
ウェーブキーは文字通り「波型の溝でシリンダー内部の障害物を操作する仕組み」の鍵です。
2000年以前から高級車などで使われていましたが、近年では家庭用の玄関鍵でも採用されるようになりました。
防犯性能は高いですが、合鍵の作製が難しいデメリットもあり、ディンプルキーほどには普及が進んでいません。
防犯性能を追求したい方にはお勧めです。

2. 電子錠・特殊錠の種類と仕組み

ホテルのドアのカードキーや、会社の社員通用口の暗証番号キーなど、鍵穴を使わないタイプの鍵もあります。
これらの鍵は電子部品が使われている電動式で、外部から電源を引いてくるタイプと、内蔵電池で動くタイプに分かれています。
その特徴から「電子錠」と呼ばれており、ピッキングなど物理的な解錠が不可能な高性能鍵です。
一般家庭でも見られるようになった電子錠について解説します。

電子錠・特殊錠の種類と仕組みの違い

・カードキー錠

電子錠の中では比較的よく見るタイプで、公共施設や一般家庭などでよく使われているカードキー。
読んで字のごとく薄型のカードをキーとして使うタイプの鍵で、専用の解錠用カードキー以外に交通系ICカードが使えるものもあります。

・テンキー(暗証番号)錠

電卓のように数字が書かれたボタンがあり、正しい暗証番号を打ち込むと解錠できる仕組みの鍵です。
専用キーを持ち歩く必要がなく、鍵紛失の心配がないことから比較的多くの場所で使われています。

ちなみにテンキーとは、「コンピューターで数字入力するためのキーパッド」という意味です。
工事現場の出入り口などの簡易扉で「テンキーによく似た数字ボタン式の鍵」が使われていることがありますが、これは厳密にはテンキーと異なり、「キーレックス」という物理鍵です。
キーレックスは電子部品を一切使わず、物理的な仕組みだけで暗証番号操作を可能にしている変わり種。
数字ボタンが表面に大きく飛び出していたら、テンキーではなくキーレックスと判別できます。

・生体認証錠

指紋・声紋・網膜などの生体情報を使って鍵を開ける仕組みの、最新式のハイテク鍵。
個人個人で特有の生体情報がキーになるので、他人が不正に開けるのはまず不可能です。
防犯性は極めて高い鍵ですが、指先の汚れや怪我、体調の変化などに左右されやすい弱点もあります。
本体一式の部品価格も、他の鍵と比べて高額です。

・スマートキー錠

スマホに専用アプリをインストールすることで、ドアに触れることなく遠隔操作で解錠できる仕組みの次世代鍵です。
たくさんの荷物を抱えている時や、小さな子供を抱いている時など、いちいち鍵の開閉操作をする必要がないのは便利ですよね。
ただし通信機器のため、電波干渉によって誤作動を起こしやすい欠点もあります。

・リモコンキー錠

手持ちのリモコンで遠隔操作するタイプですが、自動開閉ではなくリモコン操作する仕組みの鍵で、スマートキーとは異なります。
車のドアによく使われている鍵で、離れた場所から車体に触れずにドアロックを解除する様子がオシャレです。
こちらもやはり通信機器なので、電波干渉に弱い点には注意しましょう。

3. 鍵開け・交換・修理を業者に依頼する場合の費用相場

鍵トラブルの解決を業者に依頼する場合、鍵のタイプや不具合の程度、依頼する作業の内容で費用が大きく変わります。
どのタイプの鍵でどれだけ費用がかかるのか、一般的な鍵屋の料金設定を元におおよその相場を説明します。
なお本項の記載価格は、「出張料金+作業料金」を合計した費用総額の目安です。

物理錠の鍵開け・交換・修理の費用相場

・物理錠の鍵開け費用

鍵穴を使う物理錠の鍵開け費用は、「シリンダー内部に埋め込まれている障害物の数」で決まるのが一般的です。
ピンまたはディスク数が少なく単純な構造の鍵は8,000円前後。
ピン・ディスク数が多いものでは、15,000円~20,000円ほどかかります。

防犯性能を高めるためシリンダーに特殊な工夫がしてある鍵は、対応キー以外での解錠が難しくなりますので、30,000円前後かかることもあります。

・物理錠の交換費用

鍵を交換する際の費用は、出張料金・作業料金にプラスして「新しい鍵の部品代」もかかります。
基本的な耐ピッキング性能を備えた鍵は、部品価格が5,000円~10,000円ほど。
さらに高度な防犯性能を備えた鍵は、部品代だけで15,000円~25,000円ほどかかります。
錠前一式の交換作業料金は10,000円~15,000円くらいです。
そのため物理錠の交換費用は、コミコミで25,000円~50,000円あたりが相場になっています。

・物理錠の修理費用

鍵の修理費用は、修理する鍵の種類と、破損や不具合の程度によって変わります。
コミコミ費用の目安は、8,000円~30,000円ほどの範囲です。

電子錠や特殊錠の鍵開け・交換・修理の費用相場

・電子錠、特殊錠の鍵開け費用

電子部品で動作する電子錠や特殊錠は、物理鍵よりも依頼費用が高くなります。
鍵の基本的な知識に加え、電子部品を操作する知識や機材が必要になるためです。
電子錠・特殊錠の鍵開け費用は、20,000円~50,000円前後。
高性能鍵の場合は、100,000円以上かかることもあります。

・電子錠、特殊錠の交換費用

電子錠・特殊錠は部品価格が物理錠よりも高く、20,000円~100,000円ほどとかなりの開きがあります。
交換費用の総額は、30,000円~120,000円の範囲が目安です。

・電子錠、特殊錠の修理費用

電子部品が関わることで、修理費用も高くなっています。
電子錠・特殊錠の修理費用相場は、20,000円~100,000円ほどの範囲です。

4. 鍵の種類と仕組み・まとめ

普段ひとまとめに「鍵(錠前)」と呼んでいるものでも、種類や防犯性能によって様々な製品があります。
鍵屋の中には高性能鍵の鍵開けや修理を受け付けていないところもあり、「うちでは対応できない」と断られるケースも少なくありません。
依頼する際は「鍵の種類やトラブルの状況」を詳しく伝え、対応可能かどうか確認することが重要です。
そのためにも、今使っている鍵の種類を特定する知識が必要になるのです。
鍵のかけつけ本舗では、古い鍵や珍しい鍵、最新のハイテク鍵に至るまで、ほとんどの鍵トラブルに問題なく対応できます。
もちろん、トイレのドア鍵や自転車鍵など、簡易タイプの鍵のご相談も喜んで承ります。
かかる費用も作業前見積りで確定させ、想定外の高額請求などは一切ありません。
一般の方々が鍵の種類や仕組み、業者依頼時の費用相場を知っておくことは、「お客様の無知に付け込む悪質業者」を避けるための防波堤にもなります。
本コラムで正しい鍵の知識を身に付け、自己対処や業者依頼時の判断材料にお役立てください。

 

【記事コンセプト】
これまで一般の方には無縁だった鍵の知識を、わかりやすく身近な言葉で広めるための当サイト。
専門知識でトラブル対応するのは私たち鍵屋の仕事ですが、その鍵を普段お使いになるのは一般のお客様であり、今このコラムをお読みいただいているあなたです。
暮らしの中で鍵と付き合う一般の方にこそ、プロの知識が役に立つと考えています。
鍵の仕組みや構造から、鍵屋の業界の内部事情に至るまで……
可能な限りオープンに、「鍵の世界のあれこれ」を皆様にお届けしてまいります。

 

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島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

記事監修者

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

1964年生まれ。富山県出身。主任錠前技術者。
「鍵のかけつけ本舗」の創業時より当社に在籍。
これまで警察の捜査に伴う開錠や、金融機関における業務用金庫の開錠など、数多くの鍵トラブルを解決してきた。
今も現役として現場作業に携わるほか、教育担当として後輩社員の技術指導や育成も担う。 趣味は釣り、料理。

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    :株式会社ライフ&テクノロジーズ

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