自分でも出来る?インテグラル錠の交換方法をプロが解説

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【記事監修者】

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

主任錠前技術者

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「インテグラル錠」と聞いて、すぐにイメージが浮かぶ方は少ないかも知れません。
勝手口や室内の簡素なドアで使われているタイプの鍵ですが、丸型ノブが付いているドア鍵の中では防犯性能が比較的高いのが特徴です。
故障や不具合、防犯性能の強化などでインテグラル錠の交換をお考えの方に、プロ以外でも自力交換が可能かどうかの説明や実際の交換方法、その他交換に必要な関連知識を詳しく解説していきます。

1. インテグラル錠とは

インテグラル錠の仕組みと特徴

・デッドボルトがある

ドアを開けて側面を見た時に、ドアノブ付近の細長い金属板に、かんぬきのような四角い部品、またはかんぬき用穴が見えるはずです。
このかんぬきには2種類あり、指で押すと簡単に引っ込むアングル型のかんぬきは「ラッチボルト」、鍵をかけた時に飛び出る四角いかんぬきは「デッドボルト」と呼んで区別します。
ラッチボルトは、ドアを閉めた際に風圧などで勝手に開かないようにするための部品で、ドアノブを回すと引っ込んでドアを開けられるようになっています。
一方のデッドボルトは、施錠時に飛び出してドアをロックし、ドアノブを回しても開かないようにする防犯用の部品です。

丸型ノブタイプのドアには通常ラッチボルトの一本しかなく、デッドボルトがありません。
ロック機能付きのものであっても、ラッチが引っ込まないように固定するだけの簡単な機能です。
ですが防犯性能を重視しているインテグラル錠には、ロック用のデッドボルトも内蔵されています。
ドアの側面のかんぬき、またはかんぬき用穴が上下に2つ並んでいるのが、インテグラル錠の大きな特徴です。
丸型ノブのドア鍵を見分ける際は、「かんぬきが1本ならインテグラル錠ではない」、「かんぬきが2本見えたらインテグラル錠」、と覚えておきましょう。

・箱錠がある

インテグラル錠の強みであるデッドボルトは、ドア板内部に埋め込む鍵の基幹部品「箱錠」に収納され、ロック時の動作を制御しています。
他の丸型ノブ鍵には箱錠がないので、デッドボルトもありません。
箱錠はドア鍵の心臓部とも言える重要部品で、箱錠の有無によって鍵の防犯性能が大きく変わってきます。

箱錠がない簡易タイプの鍵の場合、ドアロックに必要な機能を限られたスペースに無理矢理詰め込むしかありません。
ロック機能をドア板内部の専用ケースに収められるインテグラル錠は、部品の収納スペースに余裕がある分、他のタイプのドア鍵よりも高性能に出来るわけです。
箱錠のサイズは製品によって異なりますが、「少し厚めの携帯電話」くらいのサイズ感と思っておけば間違いないでしょう。

・インテグラル錠以外の丸型ノブ鍵の種類と見分け方

『今付いている鍵はインテグラル錠ではないが、防犯性向上のためにインテグラル錠に交換したい…』
といった方も少なくありません。
一般住宅を民泊やシェアハウスに改装するなど、室内ドアの防犯強化の需要が増えているからです。
ですが、同じ丸型ノブが付いているドア鍵であっても、インテグラル錠とそれ以外の鍵では構造が大きく異なりますので、「インテグラル錠から他の鍵への交換」、または「他の鍵からインテグラル錠への交換」は難しいことを覚えておいてください。

インテグラル錠以外の丸型ノブ鍵の種類は、「シリンダー円筒錠」と「チューブラ錠」、そして「円筒空錠」の3タイプあります。
なお、トイレのドアなどでよく見かける「使用中 / 空室」の表示窓付きのタイプもありますが、この表示窓はどのタイプの丸型ノブにも付けられるので、鍵やドアノブの種類ではなくオプション機能、と考えておくのがいいでしょう。

【円筒錠(シリンダー円筒錠)】
ドアノブの中心に鍵穴があり、パッと見はインテグラル錠と似ています。
ですが箱錠を使わずデッドボルトがないので、防犯性能は低いです。
丸型ノブの根元、またはドアノブの台座部分に小さな穴が開いているのが特徴で、穴の奥にはノブ脱着用のボタンがあります。
室内側ノブの中心には押しボタンが付いていて、このボタンを押し込むとラッチボルトをロックする仕組みです。
【チューブラ錠】
箱錠を使わずデッドボルトがない、ラッチボルト固定機能しかないところはシリンダー円筒錠と変わりません。
ですがノブの台座に固定用ビスが見えるので、判別するのは簡単です。
もうひとつシリンダー円筒錠と異なる点は、「ラッチの出し入れに関わる部品がドア板内部のチューブ状部品に内蔵されている」ことです。
シリンダー円筒錠ではこの機能が丸型ノブに内蔵されていて、チューブ状部品がありません。
こちらもプライバシー保護程度の機能しかなく、防犯性は低いです。
【円筒空錠】
「錠」の文字が入っていますが、実際には錠と呼べるようなロック機能が一切ないので「空錠」と呼ばれます。
椅子がないのに座っている振りをする「空気椅子」や、ギターがないのに弾いている振りをする「エアギター」などの演技をご存知でしょうか?
名称に「空(エア)」の一文字を付けることで、実際には存在しないことを示しているわけですね。
もちろん円筒錠やチューブラ錠のようなラッチ固定機能もありませんので、ノブを回せば簡単に開けられます。

2. 交換用の新しいインテグラル錠の選び方

交換することを決心したら、新しく取り付けたい交換用のインテグラル錠を選んで購入しないといけません。
本項では、交換に失敗しないためのインテグラル錠の選び方を解説します。
しっかり頭に入れておいて、安全・確実な交換を行いましょう。

失敗しないインテグラル錠の選び方

・「なぜ交換したいのか?」「どんな機能が欲しいのか?」をはっきりさせる

鍵の交換を始める前の準備として、鍵を交換する動機や目的、新しい鍵に期待する機能や性能をはっきりさせておきましょう(計画性)。
一般的な鍵の交換目的としては、「防犯性能を強化したい」パターンと、「故障や不具合を解消したい」パターンに大別されます。
防犯目的の鍵交換では、ピッキングやサムターン回しといった不正解錠手口に強い鍵を選ぶことが重要です。
故障や不具合による交換では、今付いている鍵と同じメーカー・品番の新品を探すのが簡単です。

・防犯目的の交換を検討している場合

本コラムのテーマは「インテグラル錠の交換」ですが、インテグラル錠以外の鍵からインテグラル錠に交換したくなる場合もあります。
ですが既に説明したように、インテグラル錠と他のタイプの交換は非常に難しいものなので、プロの鍵屋か工務店に相談することをお勧めします。
作業を断わられる場合もありますが、ドア板の加工を含めて対応してくれる業者があるかも知れません。

インテグラル錠同士の交換であれば、「ディンプルシリンダータイプ」のインテグラル錠がお勧めです。
一般家庭の防犯鍵としても普及が進んでいるディンプルシリンダーは、空き巣がよく使う不正解錠手口の「ピッキング」に耐えられる性能があります。

他にお勧め出来るインテグラル錠としては、例えばGOALの6本ピンシリンダーのように、ディンプルシリンダーではないものの「アンチピッキングピン」を採用している高防犯性タイプがコスパ良好です。
内部構造やキー形状は旧式のピンシリンダーとほとんど変わりませんが、ピンの1本1本にピッキング対策が施されていて、耐ピッキング性能10分以上をクリアしている高性能ピンシリンダーになっています。

・故障や不具合で新品に交換したい場合

防犯強化が目的でなく、故障や不具合があって使えないインテグラル錠を新品交換したい場合は、今付いている部品と同じメーカー・品番の新品に交換するのが早いです。
ただし、築年数の古い建物で長い間交換せずに使っていた鍵などは、現在では廃番になっていて新品購入出来ないケースもあります。
他に取り付け可能な新品鍵があるかどうか、メーカーや鍵屋に相談してみましょう。
ドア板自体が古過ぎて鍵の設置が難しい場合は、ドア板も含めた大掛かりな交換が必要になりますので、ドアのメーカーや住宅用建材メーカーに相談してみましょう。

・重要!ドア板と鍵のサイズの測り方

今のドアで交換可能なインテグラル錠を探すためには、防犯性能や機能面を検討するだけでなく、ドア板の厚みと、今付いている鍵の各部サイズを測っておかないといけません。
ドア板には鍵の部品を取り付けるための穴が開いていますが、この穴の位置やサイズは鍵のメーカーや品番によって異なるので、今付いている鍵とドア板に対応可能な製品でなければ交換が出来ないからです。

サイズを測る場所は、次の4箇所です。

①バックセット
 ⇒ドアノブまたは鍵穴の中心から、かんぬき穴があるほうのドア側面までの距離
②フロントプレートの幅・高さ
 ⇒ドア側面の、かんぬき穴がある金属板の幅と高さ
③ビスピッチ
 ⇒フロントプレートの上下にある2本の固定用ビスの、中心から中心までの距離
④ドア厚
 ⇒ドア板の厚み。装飾部分を含めず、ドア板の最も薄い場所で測る

このうち間違えやすいのが、①と③です。
①のバックセット計測は、ドア側面のフロントプレートの厚みを含めず、ドア板の表面までの距離を測って下さい。
③のビスピッチ計測は、ビスの端から端までの距離ではなく、+型のネジ穴の中心同士の距離を測りましょう。

そしてもう一点、上記4箇所のサイズ以外にも、フロントプレートの表面に刻印されている鍵のメーカー名と品番をメモしておきましょう。
ここまでのサイズ計測の数値とメーカー名・品番を間違えずにメモしておけば、今のドアに取り付け可能な新しいインテグラル錠を探しやすくなります。

3. インテグラル錠を自分で交換する方法

「費用を安く抑えるために、業者に頼らず自分で交換してみたい…」
DIY作業に慣れている方の中には、鍵の交換くらいなら自分で挑戦してみたいという方も少なくありません。
本項でインテグラル錠の一般的な交換手順を解説しますが、少しでも分からないところや不安がある方は、無理をせずにプロの鍵屋に相談することをお勧めします。

インテグラル錠の交換手順

・交換作業に必要な道具と作業前の注意点

実際に作業を始める前に、必要な道具をあらかじめ用意しておきましょう。
インテグラル錠の交換に必須なのは、サイズ違いのプラスドライバーを2~3本と、小さめで先端が薄いタイプのマイナスドライバー1本です。
ビスを外すのはプラスドライバーの役目ですが、マイナスドライバーはフロントプレート等の部品をドア板から外す際に、隙間に差し込んで引き抜くためのサポート用です。
そしてもちろん、新しく取り付けたいインテグラル錠の新品一式も必要です。

必要な道具が揃っていることを確認したら、まずは「ドアを開いた状態で固定」しましょう。
ドアを開けたまま作業するのは鍵交換の鉄則ですが、ノブや鍵を取り外した際にドアが閉まった状態だと、ドアを開けられなくなってしまう恐れがあるからです。
途中でドアが閉まることのないように、ドアストッパーや大きめの段ボールなどを挟んでおくといいでしょう。
作業する人や立ち会う人が手で押さえたり、身体の一部で押さえたりするだけでは不充分です。

・交換手順

インテグラル錠の交換は、DIYが余程苦手な方でない限り、比較的簡単に出来ます。

①室内側のドアノブの台座(丸座)を時計と反対周りに回して、室内側ノブと丸座を取り外す
②丸座の裏にビス留めされた固定金具が見えるので、ビスを外して固定金具も取り外す
③室外側のドアノブを引き抜く
④ドア側面のフロントプレートを固定している上下ビスを抜き、フロントプレートごと箱錠を引き抜く。マイナスドライバーなどを使って引き抜く場合は、フロントプレートの各部品やドア板周りを傷付けないように注意する
➄新しく取り付けたい箱錠を、上下の向きに注意しながらドア板の穴にはめ込む。この時、ラッチの傾斜面をドアが閉まる方向に向け、ラッチの垂直面はドアが開く方向に向ける
⑥フロントプレートをビス留めしたら、これまでと逆の手順で新しいドアノブを取り付ける。室外側ノブを元の穴に差し込む⇒室内側の丸座裏固定金具をビス留めする⇒室内側ノブを固定金具に嵌め込んでから丸座を時計回りに回し、しっかり固定されていることを確認する
➆ここまでの全ての作業が終わったら、ドアノブや鍵の操作をスムーズに行えることを確認する。同時に、施錠/ 解除操作時にラッチボルトやデッドボルトがスムーズに動いていることも確認する

➆の最終確認は忘れずにやっておきたい必須作業ですが、ドアの周りに取り付け忘れのビスや部品が残っていないかどうかも、ついでに確認しておきましょう。
また、途中で何かミスをして「自力作業を続けるのが難しくなった」、「ドアを開けられなくなった」などのトラブルが発生した場合は、プロの鍵屋に相談するのが安全です。

4. インテグラル錠の交換にかかる費用

自分で交換作業をするにしても、業者に依頼するにしても、鍵の交換で「いくら費用がかかるのか?」が気になる方も多いでしょう。
最後に本項で、インテグラル錠の交換にかかる費用の目安を解説します。
交換する目的や期待する防犯性能なども考慮しながら、最適な予算の設定にお役立てください。

インテグラル錠交換の費用目安

・自分で交換する場合

業者に頼まず自力で交換する場合は、「部品代+プラスドライバーなどの工具代」だけで済みます。
インテグラル錠の製品価格の相場は4,000円前後~15,000円前後で、鍵自体のメーカーの価格設定よりも、ドアのメーカーによる価格変動が大きいようです。

先ほど紹介したアンチピッキングピンやディンプルシリンダーなどの防犯性が高いタイプでも、大体10,000円以内の部品代で収まることが多いです。
10,000円を超えるような高額の製品は、住宅部材メーカーの純正品として販売されるインテグラル錠で多くなる傾向があります。

・業者に依頼する場合

鍵屋などの専門業者に交換を依頼する場合は、「新しく取り付けたいインテグラル錠の部品代+作業料金」の合計が総額費用の目安になります。
この他に出張料金がかかることもありますが、料金設定や出張料金の有無は業者によって異なりますので、複数の業者から見積りを取っておいて比較・検討するのがお勧めです。
業者に依頼する際の費用の目安は、自分で部品を用意している場合で15,000円~20,000円前後。
部品も一緒に業者から購入する場合は、プラス部品代で20,000円~35,000円くらいが目安です。
電話で相談する際に必ず作業前見積りを依頼し、実際にいくらかかりそうなのかを前もって確認しておくようにしましょう。

事前の見積りを依頼した際に、「実際に作業してみないと料金は分かりません」「正確な料金は作業後にお伝えします」などと言ってくる業者もいます。
作業前に料金を伝えたがらない業者は、作業後のキャンセルしにくいタイミングで想定外の高額料金を請求してくる可能性があります。
こんな場合は依頼せずに電話を切って、他の業者を探しましょう。

まとめ

ドア用の鍵の中では簡素な部類に入るインテグラル錠ですが、丸型ノブ付きのタイプとしては防犯性能が高いほうです。
インテグラル錠と他の丸型ノブ鍵では基本構造が異なるため、部品交換の互換性がないことに注意しましょう。
新しいインテグラル錠を選ぶ際は、交換目的や必要な性能なども考慮して、どのメーカー、どのタイプの製品にするのかをじっくり検討しましょう。
交換前に、ドア板の厚みや重要部分のサイズを測っておくことも重要です。
今の鍵のメーカーと品番もメモしておき、交換可能な鍵を正確に探せるようにしっかり準備しておきましょう。
作業中は必ずドアを開いた状態で固定し、作業後の動作確認も忘れずに行ってください。
鍵の交換は小さなミスが重大トラブルにつながりますから、自力での鍵選びや交換作業に少しでも不安がある方は、無理をしないでプロの業者に相談しましょう。

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記事監修者

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

記事監修者

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

1964年生まれ。富山県出身。主任錠前技術者。
「鍵のかけつけ本舗」の創業時より当社に在籍。
これまで警察の捜査に伴う開錠や、金融機関における業務用金庫の開錠など、数多くの鍵トラブルを解決してきた。
今も現役として現場作業に携わるほか、教育担当として後輩社員の技術指導や育成も担う。 趣味は釣り、料理。

運営会社情報

  • 会社名

    :株式会社ライフ&テクノロジーズ

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