ドアクローザーの交換方法をプロが解説!調整方法やかかる費用は?

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【記事監修者】

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

主任錠前技術者

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ドアの開閉を制御する部品には、錠前以外にも「ドアクローザー」というものがあります。
普段はあまり聞き慣れない名称ですが、実は誰でも見たことがあるお馴染みの部品です。
今回のコラムは、不具合やデザイン変更などでドアクローザーの交換を考えている方向けのハウツー記事です。
ドアクローザーの構造や仕組み、調整方法、交換方法や交換費用について詳しく解説していきます。

1. ドアクローザーとは?

まずは「ドアクローザーがどんなものなのか?」を知っておきましょう。
日常的にお世話になるドア部品は、詳しい仕組みや不具合時のリスクを知ることが暮らしの安全に直結します。

ドアクローザーについて

・ドアの上隅にある開閉調節用部品

洋式ドアの上部、天井に近いあたりに「折れ曲がるアームが付いた箱状部品」が付いていませんか?
これがドアクローザーと呼ばれるもので、「ドアダンパー」や「ドアチェック」の別名もあります。

・ドアクローザーの役割

玄関ドアや室内ドアは、外気の侵入を防いでプライバシーを保てることが重要です。
ドアクローザーはそのための部品で、箱状部品の内部のバネにより、開いたドアが自動的に閉まるようになっています。
この時、ドアが急に閉まると危険なので、油圧ダンパーでバネの伸縮を制御し、安全な速度でゆっくり閉めるための仕組みも備わっています。

・ドアクローザーがないとどうなる?

屋外の風や空気圧の影響を受けやすい玄関ドアは、開けたまま放置すると急激に閉まってしまう恐れがあります。
この時に人が挟まれて怪我をしたり、物が挟まれて破損したりするかもしれません。

さらに建物の防犯やプライバシー保護を担う玄関ドアは、開きっぱなしになっていると不都合なことが多いものです。
また会社やホテルなどでは、室内の各部屋の遮音性やプライバシー性も重要視されます。
ドアクローザーが付いていないと手動でドアを閉めなければいけなくなるので、荷物を抱えている時などは不便ですよね。

その他にも、分厚い戸板のドアやガラス製のドアなどは、ドア自体の重量があるため人の手で開閉するのが難しいです。
このような重たいドアが風圧などで急に閉まると、重大な人身事故の発生リスクが高くなってしまいます。
ドアで仕切られた室内の静粛性とプライバシー性の確保、そして通り抜ける人の安全を守るためにも、ドアクローザーが必要なのです。

2. ドアクローザーの種類と特徴

一見どれも同じに見えるドアクローザーですが、おもに設置方式によって3つの種類に分けられます。

ドアクローザーは3種類

・スタンダード型

ドアが開く側に設置するタイプは、スタンダード型と呼ばれます。
外開き式のドアでは室外側に、内開き式ドアの場合は室内側です。
ドアが閉まっている状態では、折りたたまれたアームが垂直に飛び出す見た目が特徴です。
低いドアに取り付ける場合、身長が高い人が頭をぶつけやすい ことに注意しましょう。

なお、この後で紹介する「パラレル型」「コンシールド型」も合わせて、これら3種類の設置方法の違いによる性能差はありません。
あくまでも取り付け方式や見た目が違うだけです。
ドアクローザーの性能は、対応可能なドアタイプやドア板重量による商品のラインナップで細分化されています。

・パラレル型

ドアが閉まる側に設置するタイプは、パラレル型と呼ばれています。
外開き式のドアでは室内側に、内開き式のドアでは室外側です。
スタンダード型とは性能上の違いこそありませんが、外開き式の玄関ドアでは屋外にアームが露出しないので、玄関周りの見た目をスッキリさせられるメリットがあります。

・コンシールド型

上記2タイプと違い、本体部分をドア上部の框(かまち、ドア枠)に収納するドアクローザーです。
ドア開閉時の露出部品がアームのみになり、見た目がとてもスマートになります。

3. ドアクローザーの寿命と交換のサイン

直接触れる鍵と違って、メンテナンスを意識されることが少ないのはドアクローザーの泣き所と言えるでしょう。
ですが、やはり精密部品には違いないので、寿命や使用環境による劣化を考えておくべきです。
ドアクローザーの寿命の目安と、交換時期の判断材料になる不調サインについて解説します。

こんな時はドアクローザーの交換を検討しよう

・平均寿命は15年前後

ドアクローザーの寿命は10年~20年と言われており、平均すると「15年前後が1つの目安」と言えるでしょう。
この年数を過ぎたドアクローザーは、本来のドア開閉制御機能を正しく発揮できなくなります。
10年を過ぎたあたりでコンディンションに気を配り、15年近く経ったら交換を検討するのがいいでしょう。

・不調のサイン:ドアが勢い良く閉まる、または開くようになった

ドア開閉の速度制御は、本体内部の油圧システムで行われています。
経年劣化などで関連部品が摩耗・変形・破損したり、油圧オイルが漏れていたりすると、ドアの開閉速度を制御することができません。

ドアを開けて手を離した時に「バタン!」と大きな音を立てて閉まるようなら、まずは本体側面の調整ネジでドア閉め速度を調整できるかどうか確認しましょう。
具体的なやり方は次の「4. ドアクローザーの開閉速度を調節する方法」で説明しますが、この方法で速度を調整できない場合は、ドアクローザー自体の交換が必要です。
ドアの開閉音は近隣住民の騒音被害になりやすく、音を立てずに静かに閉まらないドアは不調がある、と考えましょう。
特にマンションなどの集合住宅の玄関ドアは、ドアの開閉音が近隣の部屋に響きやすいので要注意です。

ドアを開ける時に勢いよく開いてしまう症状も、ドアクローザーの不調が疑われます。

・不調サイン:本体から油のようなものが漏れている

ドアクローザー本体の油圧システムには、当然ですが機械用の油が充填されています。
そのため本体が劣化してくると、わずかな隙間から油が漏れ出す症状も見られるようになります。
さらにドア上部から漏れ出す油は、通り抜ける人の衣服や荷物も汚してしまいます。
ドア周辺に油のようなシミがあったら、ドアクローザー本体からの油漏れを疑いましょう。

・交換サイン:開閉時に異音がする

ドアの開閉時に、金属同士がこすれ合うキーキー音や、部品がガタつくガタガタ音などの異音が発生することがあります。
異音の原因は様々ですが、アームなどの連結ネジが緩んでガタついたり、潤滑油が切れて摩擦が大きくなったりするケースが考えられます。

まずは部品を止めているネジを締め直し、異音が収まるかどうか確認しましょう。
これで直らない場合は、アームの連結部分を中心にクレ556などの潤滑剤を注してみて、まだ音がするかどうか試してみましょう。
自己メンテナンスでも直らなければ寿命が来ている可能性が高いので、新しいドアクローザーへの交換を検討しましょう。

ただし設置から5年未満で異音などの不具合が見られる場合は、取り付け作業のミスが原因になっている可能性があります。
ドアを設置した工務店や住宅メーカーに症状を詳しく伝えて、点検修理を依頼しましょう。

4. ドアクローザーの効きを調節する方法

ドアクローザーのドア閉まり速度は、本体側面の調節ネジで自由に変更することが可能です。
もう少し早くしたい、遅くしたいというだけでなく、3段階に分かれている開閉区間を個別に速度調整できるものもあります。

ドアクローザーの速度調整

・本体側面の調整ネジを回して行う

ドアクローザー本体の蝶番側側面には、開閉速度調整用のネジが付いています。
プラスドライバーまたはマイナスドライバーがあれば調整可能なので、わざわざ業者に頼まなくても自分で手軽に調整できるのが便利です。
ただし一部のドアクローザーには、特殊な工具がなければ調整できないタイプのものもあります。

蝶番側の本体側面の中心に、大きな円形部品が嵌っているのが見えます。
この円形の外側の角や四辺のどこかに、小さなプラスネジまたはマイナスネジがあります。
その小さなネジが速度調整用のネジです。
一般的なドアクローザーには「右上隅・右下隅・左下隅に3本」のネジがありますが、円形部品の下側に2本、または1本しかネジがないタイプもあります。

【ネジが3本あるタイプの調整方法】
3本見えるネジは、それぞれ次の区間のドア閉まり速度を調整できます。

◇右上隅… 第1区間、いっぱいに開いた状態から30度ほどに閉まるまでの速度
◇右下隅… 第2区間、30度ほど開いた状態から完全に閉まる直前までの速度
◇左下隅… 第3区間、ドアが閉まる直線から完全に閉まり切るまでの速度

各ネジの横には、対応区間を示す数字が刻印されています。
ネジの回し方は、時計回り(右回り)に締めるように回すとドア閉まり速度が遅くなり、反時計回り(左回り)に緩めるように回せばドア閉まり速度が速くなります。
ただしネジを回す時は、90度や180度といった大きな角度で回してはいけません。
15度ほど小刻みに回すだけでも、ドアの閉まる速度がはっきりと変化するからです。
ネジを大きく締め過ぎるとドアが閉まりにくくなりますし、逆に緩め過ぎると急激にドアが閉まるので危険です。
ほんの少しずつ回してドアを開け閉めしながら、慎重に最適な調整速度を探りましょう。

【ネジが2本のタイプの調整方法】
第3区間に対応する3のネジがなく、1と2の調整ネジ2本があるタイプです。
1のネジは第1区間、2のネジは第2区間を調整できますので、上記のネジ3本タイプの説明を参考に調整してみてください。

【ネジが1本しかないタイプは調整が難しい】
調整ネジが1本しかないタイプは、古い形式のドアクローザーの特徴です。
このタイプは速度調整が難しいうえ、専用の工具がないと調整ネジを回せないものもあり、現在では生産されていません。
このタイプのドアクローザーに不調が見られる場合は、新しいドアクローザーへの交換をお勧めします。

5. ドアクローザーを交換する方法

寿命を過ぎている場合や速度調整ネジが効かない場合は、ドアクローザーを一式丸ごと交換する必要があります。
アームの形状など製品のタイプによって交換手順が違いますが、今回は一般的なパラレル型ドアクローザーの交換手順を紹介します。

自分でできるドアクローザーの交換方法

・用意するもの

ドアクローザーの交換に必要な道具は、ネジ回し用のプラスドライバーと脚立です。
手持ちのプラスドライバーのサイズがネジのサイズに合うかどうかを確認し、合わないようならピッタリ合うサイズのドライバーを用意しましょう。
この時注意したいのは、「ネジ穴に対してドライバーの先端が小さ過ぎるものは使わない」ことです。
ネジ穴にスルリと入って回す時の引っ掛かりを感じるドライバーでも、回転時の遊びが大き過ぎると上滑りして、ネジ穴の角を削ってしまうことがあります。
できるだけピッタリ合うサイズのドライバーを使うのがお勧めです。

また脚立は、ドアが「いっぱいに開いた状態で固定されている」のを確認してから設置しましょう。
ドアクローザーの交換作業はドアを開けたまま行いますが、ドアの固定が不充分だと作業中に突然ドアが閉まる恐れがあり、脚立ごと倒されてしまうので危険です。

・交換用のドアクローザーは適合タイプ・適合サイズのものを選ぶ

新しく取り付けるドアクローザーを自分で用意する場合は、今のドアに取り付け可能なタイプ・サイズの製品を選ぶことが重要です。
ドアクローザーの性能は、ドアのタイプや重さごとに細かいラインナップがあります。
もしもドアに合わないものを選んでしまうと、ドアの開閉動作が上手く行かなくなったり、取り付け不備で急に壊れたりするなどのトラブルにつながります。

どのドアクローザーを選べばいいのか分からない時は、ドアクローザーを扱っているホームセンターなどに相談しましょう。
今付いているドアクローザーの種類や品番が分からなければ、スマホなどで写真を撮ってスタッフに見せるといいでしょう。

・古いドアクローザーの取り外し

ドアクローザーの取り外しは、上部ドア枠とアームを分離する手順から始まります。
上部のドア枠にアームを受けの固定金具(ブラケット)が付いています。
ブラケットの受け部分にアームがビス止めされているので、そのビスを外しましょう。
ビスを抜いたら、アームを下方向に引っ張りながらブラケットの受け具から引き抜きます。

アームを取り外す際の注意点は、「本体との連結部分に油圧の回転力がかかっている」ことです。
このため油圧システムに異常がないドアクローザーの取り外し作業は、ブラケットから外れたアームが勢いよく回転しないよう、手でしっかり押さえながらやりましょう。

アームがドア枠から外れてフリーになったら、ドアクローザー本体の固定ビスを抜いてドア板から外します。
ここまでやれば、後は上部ドア枠にブラケットだけが付いている状態のはずです。
ブラケットの固定ビスを全部抜いて、ドア枠から外しましょう。

・新しいドアクローザーの取り付け

新しいドアクローザーの取り付けは、外した時と逆の手順で行います。
まずは部品の組み立てからで、箱状の本体部品に「プレート・アーム」を取り付けましょう。
そして組み立て済みの本体を、ドア板にビス留めします。
次に上部ドア枠のビス穴の位置に合わせて、ブラケットをビス留めします。
本体とブラケットがしっかり固定されたのを確認したら、ブラケットのアーム受け部にアームのドア枠側先端をはめ込み、ビス留めして完了です。

全ての取り付け作業が終わったら、余っているビスや部品がないか、各部品の接続部にグラつきや緩みがないかどうかを必ず確認してください。
また、取り付け直後の新品ドアクローザーはドア閉め速度が合っていない場合もありますので、「4. ドアクローザーの効きを調節する方法」を参考に速度調整しておきましょう。

今回は一般的なドアクローザーの交換手順を説明しましたが、種類によっては交換手順が異なっているものもあります。
実際の交換手順は付属の取扱説明書に従い、間違えないよう注意して行ってください。

6. ドアクローザーの交換費用

自分で交換する場合も業者に作業を依頼する場合も、部品交換には何らかの費用が発生するものですよね。
気になる交換費用の目安を解説しますので、交換方法の選択や、常識的な料金を見積もってくれる業者の選定に役立ててください。

ドアクローザーの交換費用

・自分で交換する場合 ⇒ 部品代5,000円~20,000円

業者に依頼しないDIY交換では、新しいドアクローザーを自分で用意しなければいけません。
ですが作業工賃はかかりませんので、かかる費用は基本的に部品代だけで済みます。
ドアクローザーの部品の一式価格は、安いもので5,000円前後、高いものでは20,000円前後です。
サイズの合うドライバーを持っておらず追加購入したい場合は、1本200円前後~、数本セットは1,000円~で購入できます。

・業者に依頼する場合 ⇒ 25,000円~35,000円くらいが目安

自分で交換するのが不安な方は、プロの業者に依頼するのがいいでしょう。
住宅・ドア関連の部品メーカーに相談すると早いですが、鍵屋でもドアクローザーの交換作業を受け付けているところがあります。

正確な費用は業者によって異なりますが、ドアクローザーの交換作業料金は15,000円前後に設定しているところが多いです。
また、取り付けの際にドア板やドア枠の穴あけ加工が必要な場合もあり、その際は追加工事分の料金もプラスされます。
新品ドアクローザーの部品代は、10,000円前後の製品をお勧めされるのが一般的です。
そのため総額費用の目安は、25,000円~35,000円ほどの範囲になります。

・業者選びの注意点・見積り金額が異様に安い場合は要注意!

依頼する業者を選ぶ際に、「料金が安いから」という理由で安易に決めてしまう人がいます。
料金があまりにも高いと断りたくなるものですが、実は料金が安過ぎる業者にも「それなりのウラがある」ケースが少なくありません。

必要な手順と機材で確実に作業しようとすると、どうしてもそれなりの費用がかかってしまいます。
にもかかわらず異様な低料金を掲げる業者は、必要機材が不充分なまま安易に依頼を引き受けていたり、法律で定められた工程や資材を省いたりするところが珍しくありません。
料金が安いからと急いで決めてしまうのではなく、「適正相場の範囲内かどうか」でも判断するようにしましょう。

ドアクローザーの交換方法・まとめ

鍵と違って普段はほとんど意識されることがないドアクローザーですが、ドアを使う人や物の安全を支える大切な設備であることは変わりません。
ドア開閉時の動作や本体の油漏れなどでコンディションを把握し、調子が悪いと思ったら調整ネジで閉まり速度を変更しましょう。
調整ネジが効かない、または寿命を過ぎているドアクローザーは、その場しのぎの修理で済ますのではなく一式交換する方が安全です。
業者に交換を依頼する際も急いで1社に決めてしまわず、複数の業者から見積もりを取って信頼できそうな業者を選ぶようにしましょう。

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記事監修者

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

記事監修者

島田 宏幸(しまだ ひろゆき)

1964年生まれ。富山県出身。主任錠前技術者。
「鍵のかけつけ本舗」の創業時より当社に在籍。
これまで警察の捜査に伴う開錠や、金融機関における業務用金庫の開錠など、数多くの鍵トラブルを解決してきた。
今も現役として現場作業に携わるほか、教育担当として後輩社員の技術指導や育成も担う。 趣味は釣り、料理。

運営会社情報

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    :株式会社ライフ&テクノロジーズ

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